近況雑談の過去ログ9


△過去の雑談目次   ▲トップページ  


 2000-03-31  「ブルー・ジェンダー」2 /ゲーム話 /八木アナ退社

 「ブルー・ジェンダー」の最終放送は、1話のみ。観念的で思わせぶりな絵を並べて主人公に「……そうか、そうだったのか……」と気持ちよさげに独白させて終劇。なにを悟ったのやら。まあ言わんとすることは見当がつくけど、ガイア思想を意味ありげにほのめかすだけではストーリーの始末をつけたことにはならんと思うゾ。エンディングロールで衛星ステーションの自滅(自爆)を見せたのは蛇足。主人公とヒロインだけが迎えるハッピーエンドが、いかにも身勝手なものに思えてしまった。

 昨夜は遠方の友人から電話がありゲーム話で盛り上がる。今ごろサターン版「信長の野望」にハマっているんだとか。私のサターンは「バーチャファイター2」専用マシンである。時が止まっている。どうもオジサン世代のゲーム機事情ってのは物悲しくていけない。
 今日は納品を済ませた後、久しぶりにゲーセンに入った。「バーチャファイター3」は無い。しょうがないので操作(コマンド)の似ている「DEAD OR ALIVE 2」ってのをやってみた。初めてのプレイなのに初回で全クリアしちゃったよ。最近のゲームは難易度設定を大甘にしてあるのか? ラスボスの天狗が「すべては我の戯言なり」とか特太明朝で大見得切ってたけど、各ステージの対戦キャラのセリフをまったく聞かずに(筐体から音が出てなかった)辿りついた私には、なんの話やら意味不明であった。

 CXの大看板アナ、八木亜希子嬢が退社。今日の「スーパーニュース」が局アナとしての最後の出演だったが、有珠山噴火で緊迫状況にあるためか花束贈呈は無し。あるいは、以前「めざましテレビ」降板時の花束贈呈で泣かされているので、事前に本人が固辞していたのかもしれない。
 私がインターネットに接続して最初にアクセスしたのは「めざましテレビ」のホームページだった。いろいろ思うことはあるが、それについては後日。



 2000-03-29  「記憶の海へ」 /雑文追加

 CXが月曜から「知的探検スペシャル・記憶の海へ」という4夜連続の特番を放送している。月曜はパスしたが昨夜の2夜目はテーマ「記憶も嘘をつく」が面白そうなので見てみた。

  1. 巧妙に誘導されると人は存在しない物を「見た」と錯覚する、という街頭実験
  2. アメリカでの実話を再現ドラマ仕立てで紹介
  3. アメリカの大学(心理学教室)での実験(仕掛けは1と同じ)

 実話というのは、「ある女性が突然少女時代の記憶を取り戻す。それは20年前の少女惨殺事件の犯行を目撃していた、犯人は自分の父親だった、という衝撃的な記憶である。女性は悩んだ末に父親を告発し、父親には無期懲役の判決が下る。ところが……(以下略)」というもの。
 「知的探検」を謳っているが中身は再現ドラマを柱とするエンターテイメント志向の強い構成になっており、実験も実話も既知のものだったのであまり楽しめなかった。

 心理学の実験って、被験者をばかにしたようなものが多くないか? 番組を見ていてある小噺を思い出した。
 男がバーで飲んでいるとセクシーな美女が近くに座り、しきりに男に色目を使う。男は嬉しくなって「やあ、一緒に飲みませんか?」と声をかける。すると美女はいきなり立ち上がり、
 「失礼ね! 人を商売女よばわりするなんて最低だわ!」
 と怒鳴る。まわりから非難の視線が男に集中する。わけがわからないが、恥ずかしさに足がすくんで男は店を出られない。うなだれて酒をすする。30分ほどすると美女が男の隣にやってくる。身構える男に優しく微笑んで「先ほどは失礼しました。私は大学で心理学の研究をしてますの。あなたや店内の人たちの反応は大変参考になりましたわ。どうか非礼をお許し下さい」と詫びる。すると男は突然立ち上がって叫んだ。
 「なんだって! 30分で100ドルだと! 高すぎるよ!」


 雑文に 保険金犯罪 を追加。
 これは和歌山毒カレー事件に触発されて98年12月に書いたもので、最近話題の埼玉保険金殺人疑惑とは関係ない。中身は関係するけど。例によって、だらだらと長い。



 2000-03-27  ディープパープル /長嶋引退試合 /長官狙撃事件

 24日(金曜)のニュースステーションにディープパープルが出演し、"Smoke on the water"を生演奏。
 お気に入りのグループの大好きな曲なんだが、見ていてちょっとツライものがあった。メンバーがいい年のオッサンになっていても、例えばベンチャーズなんかの場合、見た目も演奏も素敵で楽しめるんだけどなあ。還暦のおじさまとハードロックはビジュアル的に合わない。演奏の方も、なんというか、適当にヤッツケタ、って感じ。そういやドラマーがスティックを落としそうになっていた。

 日曜の6時はいつもならTBS「報道特集」を見るのだが、「ちびまる子ちゃん」がTV放送開始10周年だというのでそっちに浮気。長嶋選手の引退話。オープニングで長嶋監督のお祝いメッセージがあり、アニメ本編にも長嶋役で本人が出演していた。
 本編中でも語られていたが、長嶋の引退試合の時にはすでに中日が優勝を決めていた。中日の主力選手はあの試合には出ず、名古屋で優勝パレードをしていた。巨人・長嶋ファンにとっては「歴史に残る試合」でも、中日にとっては消化試合に過ぎなかったわけだ。当時私のまわりの長嶋ファンは無礼な態度だと言って怒り狂っていたが、アニメではふれていなかった。当たり前か。

 続いてTBS「報道特集」の後半を見た。95年の国松警察庁長官狙撃事件の検証特集。国松元長官は今はスイス大使になってんだねえ。警察官僚からスイス大使か。不思議な人選のような気がするが、大使というのは「上がり」になった高級官僚用のポストなのかしらん。
 スイスでの国松元長官インタビューが番組の目玉だったようだが、興味をひく発言は無し。他に、事件とオウムを結びつける長官秘書官の目撃証言を紹介していたが、これって新ネタなのかな。証言といっても、「事件前に現場近くで目撃した不審な男はオウムの元自衛官に似ていた」、「事件後不審な男に尾行されたが、裁判で林康男被告の顔を見たとき、この男だと思った」なんてあやふやなものでは、捜査の糸口にはなっても法廷での証拠能力はないだろうけど。



 2000-03-24  「ブルー・ジェンダー」 /雑文追加

 TBSが深夜枠で放送しているアニメ「ブルー・ジェンダー」を10話目あたりから見始めた。 新種生物群の侵略(脅威)+新人類モドキの主人公+大型人型戦闘機械+戦闘美少女(マリーン萌え)、……と定番要素を揃えた(=アリガチな)SF近未来モノだが、ちょっと(ほんのちょっと)劇画調の絵柄とシリアスなストーリー展開に惹かれて毎週見逃さないようにしている。
 新作なのに深夜枠なのは視聴者層を決め打ちしているんだろう。おかげでスプラッタな描写もふんだんにある。テレビ東京は「エヴァンゲリオン」を夕方枠で放送していたが、その時間帯ゆえのクレームもずいぶんあったようだし。

 あいかわらずアニメ制作は予算の制約がきついらしい。素人の目から見ても週ごとの作画レベルの違いが歴然としている。特に回想シーンで放送済み分の絵が挿入されると悲惨で、主役キャラの顔の造形さえ統一されていないのがよくわかる。(^^;)
 ただ、「エヴァ」と違って制作の遅れはないようで、昨夜(今朝)は大盤振る舞いの(?)2話連続放送であった。先週までで脇役キャラを大量殺戮してしまっているので幕切れ間近と思われたが、まだ数話以上続くようだ。なんだかストーリーの収拾がつかなくなっているような気がするんだが、さてどうなることやら。(*)

 様々な形態をとって現われる攻撃的な新種(異星)生物が人類を破滅の淵に追いやる物語というとアニメでは「トップをねらえ!」があるが、「ブルー・ジェンダー」はどっちかというと少年マンガの「ワースト」に近いのかな? ……いかん、比較考察しようと思ったのだが、「ワースト」の結末を思い出せん。(--;)

(*)  WEBで関連サイトをチェックしてみた。先週も2話連続放送だったらしい。くそぉ、1話見逃していたのか。また、どうも来週が最終回らしい。これ以上引っ張るのは無理だと思うが、あと1話ですっきりと完結させる方がもっと無理っぽいような。来週も2話連続放送なのかも。(25日午前追記)


 久々に雑文追加。→ 「大脱走」にまつわる思い出
 これは1月末には書いてあったのだが、だらだら長いので公開は保留にしていたもの。手元に置いて少しずつ推敲しているとキリがない。表に出して恥をさらすことにする。



 2000-03-20  通り魔殺人

 WEBサーフィンを始めてすぐに、いわゆる「アングラ系」サイトに行き当たり、以来定期的に覗きに行っている。ネット上のアングラというと違法・非合法サイトという印象があるが、違法性の高いWarez系などは何度も見に行くものではない。定期ワッチしているのは「読み物」の対象にもなりうる陰謀論系やオウム・ウオッチャー系などのBBSである。

 98年初夏の頃だったか、それらの掲示板に場の雰囲気にそぐわない投稿を連発する投稿者が現われた。アングラ系BBSに変な奴はつきものだが、変というよりは "幼稚" 。ハンドルとして「○○少年」を名乗っていたこともあって当初は中学生あるいは小学生のようにも思われた。その言動の無邪気さがあまりに度外れていたためか袋叩きにあって追い出されることもなく、掲示板の常連として定着した。常連といっても、ずっと場違いな投稿を続けていたが。オフ会などにもよく顔を出していたらしい。

 その彼が通り魔殺人の犯人として逮捕された。BBSでの言動を眺めていただけの人物ではあるが、無邪気・幼稚という印象しかなかっただけに、少なからずショックを受けた。
 事件を伝える記事によると、最近はやりの言葉でいう「引きこもり」青年であったらしい。動機や犯行前後の行動などからして典型的模倣犯ということになるのだろう。あまりにパターンに嵌りすぎているという感もあるのだが。パターンか。また目立ちたがりの精神科医の恰好のネタにされてワンパターンな分析・解説が開陳されるんだろうな。

通り魔:「小2殺害事件まねた」通行人刺殺男逮捕 大阪 (Mainichi Interactive 2000年3月15日)
・参照:→ VAJRAYANA真理の探究オウマ−日記 (2000.3.16)(*)


(*) 追記  オウマー日記2000年3月分は圧縮ファイル化されている。(2001-04-03追記)


 2000-03-15  お客様のご都合

 サカリの季節ということもあってシロは頻繁に外出する。青春の謳歌大いに結構。ただ、出歩く元気があるなら4本足で歩く努力(自主リハビリ)もして欲しいのだが。まあ静観するしかない。無理やり歩行訓練させるわけにもいかんしねえ。

 初めて、電話を止められる、という体験をした。出先から自宅に電話したら「お客様のご都合により……」という不穏なメッセージ。いやあ、焦った。
 数日前、留守電にNTTからのメッセージが入っていたが、その時点ですでに口座に金は入れてあったぞ? NTTに問い合わせると、「2月分は引き落としたが1月分は未納なので止めた」だって。ちぇっ。口座には向こう半年分を払える程度の残高があるんだから、同時に処理してくれればいいのに。NTTの自動引き落としシステムって融通が利かないんだなあ。元はといえば、督促のハガキを見落としていたワタシの落ち度、自業自得なんだけど。今後のために、入金用の口座と自動引き落とし用の口座は一本化した方がいいかもしれん。



 2000-03-12  先ちゃんAクラス昇級+ランダム・メモ

 将棋の渡辺明がプロになった(四段に昇段)。「中学生のプロ棋士誕生」とTVニュースでも報じていたが、この人は奨励会に入った頃(4、5年前だっけ?)からすでに「羽生二世」と言われていた。棋界事情を多少知る者にとっては早さに驚くというよりむしろ「ようやく上がったか」というニュースである。
 ようやくと言えば、「元天才?」(*) の先崎七段が今期、A級への昇級を果たした。99年1月30日の雑談 で「先ちゃんがまだ七段なのは意外だった」と書いたが、あれから1期(1年)でA級八段に上がったことになる。多芸多才なのが災いして(?)、C級にずいぶん長いこと滞留していたが、ようやく、ついに、名人挑戦権に手が届くところにまで登りつめた。腐らず、よく頑張った。偉いぞ先ちゃん。

(*)  かつて「将棋マガジン」誌が羽生新四段と先崎初段が一緒に写っている写真を掲載した際、「左は元天才? の先崎初段」とキャプションを付けた。これを見た時の先ちゃんの思いは『一葉の写真』(先ちゃんの随筆+観戦記集、講談社)に詳しい。

 地下鉄日比谷線の脱線・衝突事故の翌日(9日)、お仕事で目黒方面へ外出。JR山手線も影響を受け運転間隔がちょっと開いていた。外出ついでに銀行、税務署などを回ってたまっていた用件を片付ける。
 残り物には福があるとか。しかし残っていなければ福の掴みようもない。4、5ヵ所売り場を回ってみたがどこもグリーンジャンボ宝くじは売り切れであった。ふん。いいさ。今年のグリーンジャンボは酸っぱいに違いない。
 帰りがけに食料の買出し。今年はほうれん草が豊作らしい。去年2月の所沢ダイオキシン騒動の時の半値以下になっている。

 深夜TVで映画「素顔のままで」を見た。ストリッパー役に挑戦したデミ・ムーアの均整のとれた肉体と訓練を重ねた見事なダンス。ストリッパーのダンスだから扇情的な動きとポーズの連続で、当然脱衣する。が、ワタシは全然色気を感じなかった。映画の中の観客は大喜びしていたが。で、この映画、ムーアのダンス・シーン以外に見るべきものは何もなし。



 2000-03-09  消せない放送禁止用語/ テキスト庵

 深夜TVで映画「獄門島」を見た。古い映画やアニメをTVで放送する時には "放送禁止用語" 部分の音声を消してしまう悪習が定着しているが、この作品中の「キチガイ」は無傷。ま、当然だけど。伏線&謎解きのキーワードを消すわけにはいかんからねえ。

 某社某部門のホームページ制作代行は先日書いたように今月いっぱいでお役御免となるのだが、そのコネで、別の部署が近々立ち上げるサイトの裏方をやらないか、との打診があった。
 今は借金返済のために金になるコトならなんでもウエルカム状態ではあるが、紹介者からギャラはほとんど出ないと事前に聞いていたこともあり、この件はパスすることにした。CGIスクリプトのカスタマイズと設置だけならともかく、アクセス集中必至の○○○系サイトの保守業務を請け負っては本業に支障をきたす。

 読み物系サイトのリンク&更新報告サイト、テキスト庵 に登録してみることにした。「テキスト庵」には、「当該テキストが『段落文体』を採用していること」という変わった参加規定がある。当サイトの97年と98年の一部の雑文は典型的な「改行文体」なんだけど、最近のものは<BR>での強制改行は避け、<TABLE> で横幅を確定して1行当たりの字数を縛る形式になっているので、たぶんセーフであろー。



 2000-03-07  経済与太話 国債とインフレ

 先月23日の「ニュースステーション」で日本国の借金の特集をやっていた。刻々負債額が膨れ上がっていく様子をリアルタイムで表示しているサイト(*)があり、そのデジタルカウンターの表示画面を何度かアップにして番組演出に借用していた。
 現在の国債の発行額は、すでに戦前の(戦時の?)それを上回っているんだとか。コメンテーターが、「戦争国債の乱発は終戦後の大インフレをもたらすことになった。このままでは、いずれインフレが始まり経済が破綻する」とかなんとか解説していた。

 もしかしてソレ、エライ人たちにとっては折り込み済みのことなんだったりして。どさどさ国債を発行して、がんがん借金しちゃうわけ。先のことなんか考えてないふりして。で、時期を見計らって積極的にインフレに誘導する。インフレ率が利子率を上回るとこまでいけばしめたもの、借金は勝手に目減りしてゆく。
 もちろん、制御不能のスーパーインフレになっちゃえば本末転倒のアブハチ取らずなわけで、何百兆円もの負債をインフレのみでチャラにするなんざとーてい無理なんだけど(笑)。

 冗談はさておき。
 経済破綻を招く(無策の報いとしての、自然災害のような)インフレが来る、のではなくて、経済の閉塞状況を打開するための(政策としての)インフレが予定されている、という気がするんだけどなあ。そういう奥の手の用意があるから、オブチ首相も「私は世界一の借金王」なんて言って笑っていられるわけだよねえ?

 (*) 参照:→ 経済政策シンクタンク ハーベイロード・ジャパン『日本の借金』時計

追記  『日本の借金』時計のリンクを修正。(2001-04-03)


 2000-03-05  退屈な週末

 ホームページ制作代行関係の事務・連絡処理。昨年はいろいろトラブったので保険をかける意味でドキュメントを作成。また、この業務は今月いっぱいでお役御免となるため、店仕舞いの準備を粛々と進める。

 不動産業者と住み替えの相談。セールス電話はふだんなら即切るのだが、ヒマなんで15分ほどおつきあいしてみた。賃貸に住み続けるのがいかに損なことか、法改正で家主側の権利が拡大したので「大家に出て行けと言われたらそれまでですよ」と、ドーカツ的言辞を交えつつ懇切丁寧に教えてくれた。

 『剣客商売 隠れ蓑』を再読。TV版「隠れ蓑」では秋山小兵衛が妻おはるに「先生はあと30年は生きますよ」と言われるシーンがあったが、原作ではこのセリフは同書収録の「春愁」に見える(刀屋の嶋屋孫助に言われる)。

 WEBで池波正太郎を検索。女剣士三冬は料理がからきし、というのは原作どおりの設定らしい。TV版「隠れ蓑」に挿入されていたあのエピソード、「絵に描いたような安っぽい紋切り型」と酷評してしまったが、そっくり同じ挿話がシリーズの前の方にあるのかも。まずい。(--;)

 『伊藤晴雨物語』(団鬼六、河出文庫)を再読。これは進行中の企画の参考資料。

 シロのリハビリ。といっても太腿をさすったり膝を曲げたりするだけなんだが。順調に回復しているようで、もう足を触っても嫌がらない。刈られた毛もずいぶん伸びて縫合の跡も目立たなくなっている。猫をいじっているとあっというまに時間が経つ。



 2000-03-02  TV版「剣客商売・隠れ蓑」

 昨夜放送の「剣客商売」の「隠れ蓑」、非常に良かった。……巻頭10分ほどは。
 1週間期待を膨らましていた反動か、話が進むにしたがい、いろいろと不満を感じてしまった。TVの時代劇としては、また「剣客商売」シリーズ内での完成度という点でも、最上級の出来だったことは間違いないんだけど。

 なんで、三冬(女剣士)を絡めるかね? 原作の「隠れ蓑」では秋山大次郎と三冬はすでに夫婦になっていて、三冬の登場シーンはほとんど無い。TVドラマとしてのシリーズ構成上、設定を変え、各話に若い二人の恋の進展を徐々に織り込む必要があるのはわかるが、この話に無理にエピソードを突っ込むこたぁないだろう。あえて医師小川宗哲を登場させず、代わりに原作に無い三冬のエピソードを入れるなら、それなりに練って欲しかった。男まさりの女剣士も料理はからきし、でもけなげに頑張る恋する乙女。とほほほ。なんじゃこれは。絵に描いたような安っぽい紋切り型だよ。草葉の蔭で池波正太郎も憮然としていることであろー。
 見せ場の殺陣の演出も不満だ。失明し、病に冒され痩せ衰えて余命いくばくもない老いた武士が、襲撃の気配を察して冷静に待ち受け、押し入って来た無頼の輩に一矢報いるというシーン、かつて「家中に聞こえた一刀流の名手」である老剣士の凄みが、ほとんど描けていなかった。
 最後の告白で挿入される回想シーンも、映画「砂の器」の模倣みたいだったなあ。
 また、タイトルの「隠れ蓑」は、原作では最後に洒落た趣向で処理されているのに、これを生かさなかったのも惜しまれる。TVドラマとはいえ、
 「あのお方も隠れ蓑をはずして、せいせいしたことであろうよ」
 って、こんな説明的セリフでは身もふたもない。
 文句ついでに配役についても一言。老武士役の日下武史はすごく良かった。しかし、老僧役の内藤武敏はミスキャストだと思う。演技力のことではない。原作では「骨と皮ばかり……」の老体なのに、それを小太りで顔に精気を漲らせた役者に演らせるなんてムチャである(ストーリー上もおかしい)。

 ドラマの演出とは次元の違うことだが、もう一つ気にいらないことがある。秋山小兵衛と大次郎の会話シーン(室内)でのカメラワークだ。ピントを外した状態で顔のアップに切り替え、コンマ数秒でピントを合わせる、というカットをいくつか挿入していたが、これは映像の文法を無視した非常識なものだ。こーいうお遊びは、「ケイゾク」のような実験的ドラマでやってくれ。本格時代劇でやることではない。
 (お、「剣客商売」と「ケイゾク」は渡部篤郎繋がりだな。関係ないけど。)

 文句ばっかり書き連ねたけど、冒頭書いたように、「TVの時代劇」としては最上級の出来であった。見逃した方は機会があればご覧あれ。原作(池波正太郎、新潮文庫)がお勧めなのは言うまでもない。



過去の雑談目次   ▲トップページに戻る