そいとごえす：更新記録と近況雑談

見たい番組が重なると辛い。昨夜はＴＶ初放映の映画「ブロークン・アロー」を見るつもりだったが、直前で気が変わって裏のテレ朝「驚きももの木２０世紀」、「神は盤上にいる　村山聖の無念」を見た。村山は２９歳という若さで亡くなった将棋の天才棋士。

村山はガンの手術後わずか１ヵ月で順位戦に参加し、丸山と壮絶な将棋を指している。「こんな状態（病み上がり）でこんな凄い将棋を指す男を将棋の神様が見捨てるはずはない」との先ちゃん（先崎学）の感懐（観戦記の言葉？）がある。テーマタイトルの「神は盤上にいる」というのは、この言葉を翻案したものらしい。村山はその後破竹の連勝を続け、Ａクラスに復帰する。
将棋の世界では「将棋の神様」はお手軽に使われる常用のレトリックである。先ちゃんは文才にも恵まれているんだから、「神様」を持ち出すことには禁欲的であってほしい。

ここ数年、将棋雑誌は読んでいない。「元天才？」(*)の先ちゃんがまだ七段なのは意外だった。長い停滞の後、ようやくＣクラスを抜けた時は、これで先ちゃんの快進撃が始まるかと期待したものだが。意外といえば、米長永世棋聖が番組中にまったく出てこなかったのも意外だった。米長が将棋雑誌の企画で村山の自宅を訪ねてインタビューした時、将棋の駒が揃っていなかったというエピソードは、あえて取り上げないことにしたのか？　そういえば、番組では村山が「将棋なんか嫌い」「早く将棋をやめたい」と広言していた事にもふれなかった。「名人になったら将棋はやめる」という言葉は紹介していたが、これだとニュアンスが全然違う。

父君の記録では、村山が病床で最後にうなされるように呟いた言葉は「２七銀」だったとか。もう一つのテーマタイトル「村山聖の無念」というのはこの言葉を指すらしい。「無念」といえば確かにそうなんだろうが、村山には、名人に昇りつめることを悲願とする棋士という印象は無かった。村山の無念は、早すぎる死を前にした、普遍的で平凡な、一青年のそれではなかったのか。
盤上の神と無念、天才棋士の短すぎた一生を総括する言葉としては簡潔で魅力的だが、無理に物語仕立てにしすぎた感もある。

(*) 参照：→ 2000年３月12日の項
記憶力がボロボロである。
マチ針というものがある。仮縫いの時、生地を仮止めしたりするのに使う。なぜ、あれを「マチ針」と言うか？　……あれはもともと小町針といった。そのココロは、（糸を通す）穴が無い。
２、３ヵ月前、何かで読んだ話。非常にびっくりして人に吹聴までした。
数日前から、「どこで読んだんだっけ？」とアレコレ記憶の糸を手繰っているのだが……ダメ、思い出せない。頭ボケボケだ。

なんで話の出所を思い出そうとしているかというと、この説、にわかに真贋が怪しく思えてきたからだ。正しい由来ではなく、「よく出来たホラ話」なのかもしれない。というのも、先日、田辺聖子の『古川柳おちぼひろい』（講談社文庫）を読んでいたら、
「しかし私たちが買う針に小町針というのがあるが、ちゃんと糸の穴はあいている」
という記述にぶつかったからである（古川柳では小野小町を詠んだものが多いんだとか）。

『広辞苑』の「待針」の項には「普通、頭にガラス玉などを付けてある」とある。
関西では「穴有りのマチ針」を使うのか、あるいは小町針とマチ針は別物なのか。真相や如何に？

昨日の雑談の補足。ＳＦ界で「ニューウエーブ」といえば60年代のムーブメントを指すわけで、他に何かあるわけではない。ピンボケなことを書いてしまった。もっとも、カイルが「ニューウエーブＳＦを嘲笑的に扱っている」にしても、Ｊ・Ｇ・バラードをどう評価しているのかは即断できないんだけど。バラードはニューウエーブの中でも別格らしいから。
昨日引用した文には「古き良きジャンルＳＦの愛好者」というフレーズがある。「ジャンルＳＦ」という表現が気になってちょっと調べてみた。これって定着した専門用語なんだなあ。『ＳＦハンドブック』（ハヤカワ文庫）の中で頻繁に使われているのに気づいた。以前読んだ時には（この用語に）違和感を感じなかったらしく、全然記憶に残ってなかった。ちなみに「ジャンル」という言葉は、「ヴォネガットはジャンル外の作家」という使い方もするらしい。

『ドラゴン・レンズマン』（創元推理文庫）読了。Ｅ・Ｅ・スミスの古典ＳＦ「レンズマン・シリーズ」の「新作」として、ファースト・ファンダム（1940年以前にファン活動を始めたＳＦファン）のＤ・カイルが1979年に書き上げた作品（邦訳は89年）。

「レンズマン」でＳＦ世界に導かれた者としては読まないわけにはいかないが、読みはじめるのはかなり恐い。長らく本棚の肥やしになっていたのだが、先日ふと手に取って奥付を見ると（日本語版の）刊行が１０年前。そのうち読もうと思ううち１０年も経ってしまったかと驚きようやく読みはじめたのだが、黄金期ＳＦのノリに波長を合わせるのにかなり苦労した。
「レンズマン」外伝である以上、Ｅ・Ｅ・スミスの世界観を忠実に継承するのは当然の作法ではあるが、1979年に書かれるべき「ＳＦ」であったのかどうか……。また、テーマである「機械生命の誕生」の処理は明らかに失敗している（筆者も自覚しており、クライマックスでの謎解きが言い訳じみたものになっている）。とはいえ、よく出来た愛のこもった良質のオマージュではある。

解説の作者紹介に曰く、「（カイルにはＳＦ史を扱った著書があるが）ハード・コアないし黄金期のＳＦを重視し、それ以外の分野、特にニューウエーブＳＦを嘲笑的に扱っているあたり、古き良きジャンルＳＦの愛好者とその出版を手がけていた筆者の嗜好が明確にうかがわれる」
ここに言うニューウエーブって、Ｊ・Ｇ・バラードあたりを指しているんだろうか？　サイバーパンクに拒絶反応を示すというのなら私にも共感できるのだが。(^^;)
本や雑誌は捨てられない。愛蔵しているわけでもなく、ぞんざいに部屋のあちこちに積み上げてある。メシを食う時など手近な物を拾い上げて読む。今日のメシの友は「カピタン」98年3月号。中野翠の連載エッセイ「もう一度読みたい」が伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』を取り上げている。

「亡くなったあとのマスメディアの伊丹十三追悼の様子を見ていて、私はちょっと腑に落ちないところがあった。映画監督としての伊丹十三のことばかり語られていたのが、どうも納得が行かなかった。私にとっての伊丹十三は、まず何と言っても活字の人、エッセイスト、コラムニストだったので」

まったく同感。上の引用以降も「まったく同感」の記述が続いている（「お葬式」は傑作だと思うが、それ以降の作品は……など）。このエッセイを初めて読んだ当時、パソ通の掲示板に書き込むつもりでほぼ同じことを書きかけていたが、「先に書かれた」と思ってやめてしまった。プロの作家が商業誌に書いているエッセイに張り合う気などないんだけど。

あれからもう１年以上が過ぎたが、伊丹十三の自殺は、いまだに腑に落ちない。
先週、ＴＶで「リング」を見た。出だしが都市伝説なのはいい。が、オチが不幸の手紙とは（笑）。
たとえば、Ｓ・キングがいい例だが、小説は一級品だがその映画化作品はほとんどが駄作、ということがある。映画で原作の良し悪しは判断できない。それはよくわかってはいるのだが、しかし、誰かに強烈にお勧めでもされないかぎり、私は小説『リング』は読まないだろう。

２１日の「ニュースステーション」の特集は「掲示板とチャット」。あれこれ書いていたらまた長文になっちまったので、雑文コーナーに入れた（「オンライン・コミュニティとマスコミ人」）。……ここも雑文系サイトになりつつあるなあ。お絵描きにもかなり時間を投入してるんだけど、なかなか完成しない。とほほ。
昨夜はＴＶで「もののけ姫」を見た。キャラクターの配置が「ナウシカ」と同じだとか、それを言うなら宮崎アニメはみんな似通っているぞとか、もー、たぶんあちこちでさんざ言われ尽くしているんだろうから感想は省略。

これももう語り尽くされたことかもしれないが、声優についてはちょっと言わせてくれ。森光子、声が若すぎ。森繁久弥、声が老けすぎ。どっちもミスキャストだなあ。もったいない。美輪明宏は、素晴らしかった。「人間にもなれない、山犬にもなれない、哀れで醜く美しい、我が娘サン……」

「もののけ姫」は近日アメリカで公開されるそうな。当然、英語に吹き替えるのだろうが、誰を声優に当てるんだろう？　むろん、あっちにだって母山犬モロを演じられる役者はいるだろうが、配給会社が適切なキャスティングをできるかどうか。ちょっと心配である。

１７日の項に書いた某アダルト系ソフトハウスのサイト、一巡してみたらモザイクのかかったイラストも掲示されていた。「１８禁」の警告ゲートを設ける以上、こーいうコンテンツはあって当然。アダルト系はかくありたい（笑）。
MSIEの旧バージョン（4.0以前）で「２０００年問題」の実被害が出たんだとか。具体的内容は日経コミュニケーションの記事を参照のこと。まだ９９年なのにどういうメカニズムで問題が発現したのか？　この記事の解説はわかりづらくて、「たぶん、こういうことなんだろうな」という仮説を立てるのに１０分ぐらいかかった。（自分の理解力は棚上げ）(^^;)
「ニュースステーション」生出演の小沢党首（先週１４日）と管代表（昨夜）のことを書いていたらまた長くなってしまったので、別ページとした。

某アダルト系ソフトハウスのサイトでアクセス１００番をゲット。アダルト系でこんな若い番号を踏むのは珍しい。ちょっと嬉しい。(^-^) 証拠物件。（アニメｇｉｆなので、ブラウザによってはうまく表示されない可能性あり）
現時点では問題になるようなブツは掲示されていないが、「１８禁サイト」には違いないのでリンク＆サイト名掲示は自粛する。
今月上旬、ロボット系サーチエンジン２ヶ所に登録申請し、一つは２日後に登録された。宣伝してお客を呼べるコンテンツはまだできていないので、ディレクトリ系サーチエンジン類への登録は当面しない予定。
ロボット系サーチエンジンの場合、トップページを登録すれば配下のページなどのリンク先情報もロボットが勝手に収集していくはずなのだが、実際にはこの機能は働いていないようだ。雑文系サイトを昨年から登録してあるのだが、配下のページやリンク先は自動登録されず、トップページを更新してもまったく反映されない。ＷＥＢページが爆発的に増加しているため対応しきれなくなっているのか？　サイト内容をリニューアルした場合などは、サーチエンジンに出かけて手作業で登録内容の更新をした方がいいようだ。
中断していたＣＧの仕上げを再開。しばらく時間をおくとデッサンの狂いに気づくというのはよくあることだが、仕上げ段階で気づくと悲惨である。(;_;)
自・自連立内閣が発足しましたなあ。そろそろ北朝鮮がヤバイのかも。

訂正。１０日の項に書いた「夕陽のガンマン」のクライマックス・シーンで流れるのはテーマ曲ではなくサブテーマ曲であった（修正済み）。

先日、ＣＤ屋にマカロニ・ウエスタン曲集を探しに行った直接のきっかけは大晦日に「夕陽のガンマン」を見たからなのだが、実はその前から「マカロニ・ウエスタン聴きてえ」気分がじわじわ盛り上がっていた。このところＴＶでよく流れている缶コーヒーの傑作ＣＭ（「俺ならガツーンと言ってやる」「俺ならよけちゃうよ」「強いだけじゃダメなんだ、人望がなくちゃあ」）の曲が、マカロニ・ウエスタン風味なもんだから……。（あの系統の曲は、正調ウエスタンの「アラモ」なんかでも使われてるけど、私の認識ではマカロニなの。）
「ネット犯罪」報道に触発されてあれこれ書いていたら長くなってしまったので別ページとした。
これまでこの「近況雑談」に書いたことも、加筆・修正して独立ページにするかも。ネタの使いまわし（笑）。

昨年の大晦日、テレビ東京はＮＨＫ紅白の裏で「夕陽のガンマン」を放送した。マカロニ・ウエスタンは、映画としてはＢ級でも音楽は名曲が多い。なかでもこの「夕陽のガンマン」は楽曲が作品中の小道具（伏線）に絡む趣向があって素晴らしいのだが、今回の放送は悲惨であった。因縁話とサブテーマ曲が融合する感動のクライマックス・シーンの途中で、なんとテープが切れてやがる！　画面の飛びはともかく音楽がブチ切れていては台無しである。もう３０年も前の作品で、他局で何度か再放送された末にテレビ東京に売却されたものだから日本語吹替え版テープの劣化がひどいのだろうが、作品の要めのシーンなんだから手当てしておいて欲しかった。セリフの乗っていない部分十数秒程度の差し換えなど、今の編集機器なら易々と処理できるだろうに。
ＣＤ屋でマカロニ・ウエスタンのテーマ曲集を探すが見つからない。仕方なく店内を遊泳。マリリン・マンソンのＣＤを手にとって買うか見送るかずいぶん迷う。「迷った時は手抜き」という格言に従い今回はパス。これは囲碁の格言なんだが。

代わりにビートルズの「ザ・ビートルズ（ホワイト・アルバム）」を買った。オリジナル発売３０周年記念の「アナログ盤の縮小ヴァージョン」なんだって。イギリス直輸入盤＆解説ブックレット入り。ポスター付き（これは店のサービスかも）。
マリリン・マンソンからビートルズとはずいぶんな飛躍のようだが。いいんです、一応ロックつながりだし（笑）。マカロニ・ウエスタンのＣＤ買うつもりで店に入ったのに？　それもＯＫ。３０年前つながりなのだ。 (^-^)
８日、ＴＶで「フィフス・エレメント」を見た。劇場公開当時ＴＶで流れていたＣＦでは美術命の難解ＳＦという印象だったが、実際はずいぶんとポップでクール、いやグリーン。♪喩えるなら空を駆ける～(*)、もとい、喩えるなら「グラス・オニオン」ではなく「オブラディ・オブラダ」ノリの映画であった。
(*)なんでここで「ルパン３世」のテーマ曲が？　単なる連想デス。「夕陽のガンマン」の主演、クリント・イーストウッドの吹替え声優といえば？　そう、山田康雄つながりなのでした。(^-^;)
誤記訂正：「夕日のガンマン」→「夕陽のガンマン」（2001-07-26）

母親が幼児を山中に置き去りにして凍死させるという事件があった。７日のテレビ朝日「スーパーＪチャンネル」では亡くなった幼児の祖父がインタビューに答えて、涙声で「人間のすることじゃない」と話していた。ガラス戸越しで表情はわからなかったが、その言葉には悲しみより怒りが強く含まれているように感じた。なにか違和感がある。
「人間のすることじゃない」というのは凶悪な犯罪に対する常套句のようなものだが、可愛い孫を凍死させた犯人は、彼にとっては「娘」（嫁？）でもあるわけで。ＴＶの取材に応じた上で、自分の娘（嫁？）の行為をこんなふうに表現するというのは、いったい何なんだろう？　違和感を感じる私の感覚がおかしいのか？

99年01月01日	謹賀新年
		本年もよろしく。　　　　合い言葉は「あと７ヵ月」だ。(^-^)

近況雑談の過去ログ２