TV雑記 2



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オンライン・コミュニティとマスコミ人 久米宏
オンライン・コミュニティとマスコミ人 筑紫哲也
「不適切」な人たち
「インターネット=チャット&掲示板」となるか?

2003-01-11:レイアウトを微修正。



 オンライン・コミュニティとマスコミ人 久米宏 【99年01月23日】

 21日の「ニュースステーション」の特集は「掲示板とチャット」。先日も似たような特集があったが(01月12日の項参照)、前回のものが「ネット犯罪」がらみだったのに対し、今回の切り口は「匿名での交流を楽しむ人々」というもの。奇妙な「ハンドルネーム」を名乗り、生身の世界とは別人格の口調でおしゃべりし(アイドル掲示板に女の子のしゃべり口調で投稿する47歳の会社社長(男))、オフ会に集まりパフェを食いながら数時間のおしゃべり。また、オンラインでは肉体の障害もコミュニケーションの壁にはならない(脳性麻痺の女性の紹介)。
 ……デジャ・ビュ。いや既視感というより、見飽きた紹介パターンである。もっともこれは、私自身が10年以上前にパソコン通信にハマって、パソコン通信を取り上げるTV番組を熱心に見ていたからなのかもしれないが。

 先日の放送に比べ、久米宏には大きな進歩が見られた。実態としてはパソ通と差異のないこれらを指して「インターネットでは」と余計な(的外れな)コメントを加えなかったことである(笑)。掲示板とチャットの違いの説明は全然ナッチャイナイものだったが。
 前回の特集のシメでは久米宏は妙なはしゃぎ方で「インターネットでの交流」に疑問を呈していたが、今回のシメのコメントは肯定的であった。もっとも、渡辺真理嬢とのやりとりを見た視聴者は逆に、「チャットとかいうものは、どーも不気味なものらしい」という印象をもったかもしれない。

久米 宏現実世界とは別の世界があって、そこにボクは23歳の看護婦として参加することもできるわけですよ (^-^)
渡辺真理最悪だー…… (>_<)
久米 宏そういう世界があるっていうことは、楽しいことじゃないですか (^o^)
渡辺真理いやー、私はそこには接続したくないですけどね (=_=)

 渡辺真理嬢は露骨に嫌悪感を示した。たぶん「23歳の看護婦に仮装して仮想世界で変態プレイに陶酔している久米宏」の姿がありありと目に浮かんでしまったのだろう。それは誤解だ。もっとも、久米宏の誤った理解を的確に受け止めた正しいリアクションである、とも言えるが。

 オンラインの世界では別人格になれる。しかし現実世界の自分とあまりにかけ離れた人格を演じても早晩破綻する。これはネットワーカーの常識で、その悲喜劇をネタにした小説やマンガもずいぶん前から出ている。いや、前からあるというなら、この虚像破綻の悲劇というのはインターネットやパソ通が普及するはるか以前からあった。殺人事件にまで至ったケースもある。ペンパル(文通交際)である。
 今は「Eメール交際」というのも盛んらしいが、これが元で事件に至った場合、マスコミはまた「インターネットの落とし穴……顔の見えない相手を信用した悲劇」なんて報道をするんだろうなあ。

 仮に久米宏が「23歳の看護婦」としてチャット・デビューをしたとして、彼はいつまでそのキャラクターを演じ続けられるだろうか? 1ヵ月、いや1週間ももたないだろうとは思うが……しかし、もしかしたら毎日昼休みにチャットルームに来る「亜美★」ちゃんは実は久米宏なのかもしれない。「みるKey♪」ちゃんが山本文郎でないとは誰も断言できない。「まみ☆ラルク大好き」ちゃんは森本毅郎の世を忍ぶ仮の姿かもしれないし、「夜の如意棒凸」クンは実は筑紫哲也……。
 匿名性を逆手にとって、こーいうこと考えるのも一興ではある。(^-^;)


2000-10-13:表記訂正(デ・ジャ・ヴ → デジャ・ビュ)。thanks to 権ちゃろフ様



 オンライン・コミュニティとマスコミ人 筑紫哲也 【99年01月23日】

 私が以前常駐していたパソ通の草の根ネットには、一時期、筑紫哲也がシグオペとして参加していた。筑紫哲也がなんでまた草の根ネットのシグオペを? と聞かれても困る。バブル崩壊前夜という時期と関係ありだとは思うが、事情はよく知らない。
 筑紫哲也は、オンラインでも終始一貫、本名を名乗り(*)、言動も筑紫哲也のママであった。ヴァーチャルな(笑)人格を演ずることなく実像をオンラインで晒したわけだが、結局、数ヶ月でケツをまくって去って行った。
 この時のパソ通体験は彼にとってかなり後味の悪いものだったらしい。数年後、TBS「News23」の「多事争論」コーナーでニフティーサーブの名誉毀損裁判の判決に『インターネットは空っぽの洞窟』(当時話題のベストセラー)をからめて語った時、その体験をこんなふうに披瀝した。

「パソコン通信というのが始まったころ、私はあるグループの会員になってやっていたことがあります。 (中略) しかしながら、いろんな理由があって、私は途中で早々とそこから退場いたしました。ひとつの理由は、あまりにも自由でなんでも言えるということの中で、人間の我といいますか、あるいは毒というものが、非常にその点でも自由にでてきてしまって、個人的にいやになったからであります」
 【引用出典:TBS「News23」多事争論(97年05月27日)

 この回の放送は生で見たのだが、このコメントにはあっけにとられた。確かに「我」は噴出していたが(自己顕示欲の無い人間が掲示板に投稿などするものか)、私の見るところ、「毒」というほどのものは出ていなかった。彼の掲示板に投稿された放言・暴論など、TV局や新聞社、週刊誌編集部に届くハメの外れた「投書」「ご意見電話」に比べればごくお上品なものだったはずだ。
 「朝日ジャーナル」編集長時代もTVキャスターに転身してからも、筑紫哲也宛てには無数の「猛毒」が送り付けられているはずだが……受付担当者がゴミとして事前に処理してくれてたんだろうなあ。それで免疫が無くなっていたのかもしれないが、ジャーナリストにしてはあまりにナイーブな心情吐露である。

 最後に蛇足。提示される月間テーマが硬派のTV番組が「ご意見募集」するような類のものばかりで興味をもてなかったため、彼の主宰する掲示板には私は一度も投稿していない。

(*) 「終始一貫、本名を名乗り」について補足。
99年7月の「東芝サポート問題」の際、筑紫氏は「News23」の多事争論コーナーで「ホームページは便所の落書き」云々の発言をしてネットワーカーの猛反発をくらった。WEBでは氏の過去のパソコン通信体験(撤退経験)を持ち出して嘲笑する投稿も見られた。思い立って当時のログを読み直してみて、氏が途中から「頑迷固老」というハンドルを使っていたのに気づいた(思い出した)。もっとも、アーティクルのヘッダ部に表示される「送信者名」(自由に変更可能)は最後まで「筑紫哲也」のままだったので、「終始一貫、本名を名乗り」続けていたことに変わりはない。(1999-07-30 追記)



 「不適切」な人たち 【99年01月19日】

 先週14日、「ニュースステーション」に自由党の小沢党首が生出演した。ひとしきり語った後のCM開けで、久米宏が「先ほどの放送中、不適切な表現があったこと」をお詫びした。たぶん、小沢党首が北朝鮮を(繰り返し)「北鮮」と呼んだことを指すのだろう。
(お、Win95のFEPは「北鮮」を一発で変換するぞ(笑)。)

 昨夜の「ニュースステーション」では、自民党と自由党の「周辺事態」解釈はいまだに対立しているというニュースの中で14日放送の小沢党首発言を流した。問題の(?)発言部分も含まれていたが、注釈・釈明の類は無し。VならOKってことか。もっとも、Vを流す時にまで「お詫び」が必要なら、ハナからそんなモノは使わないだろうが。テロップ入れるのも変だし。

 何年か前から、淫行や麻薬がらみの事件が発覚して芸能活動自粛中(あるいはパージ中)のタレントがTV画面に映ると、その都度「この番組はXX月○○日に収録されたものです」なんていうテロップが挿入されるようになった。芸能ゴシップに疎い人には意味不明のお断わりだが、これは「収録したのは事件発覚前なんです」というクレーム避けメッセージである。

 事の性格からいって、その種の言い訳テロップは使えない。小沢党首の「不適切な表現」ってのは、「先週はあんな言い方しちゃったけど、本人は反省してます。あれはあくまで過去の話」……ではないんだから。「不適切」であり「お詫び」する必要があると小沢党首本人が思ったんなら、久米宏が「お詫び」を代行するわけはない。
 もっとも、Vの冒頭に挿入された「1月14日放送」というテロップには、案外、TV局側の「これはあくまで過去の発言なんだからクレーム電話は勘弁してね☆」という願いがこもっているのかもしれないが(笑)。


 昨夜の「ニュースステーション」には民主党の管代表が生出演した。政治向きのことは朝日新聞の菅沼コメンテーターがインタビューしたのだが、最後に「真理さんがぜひお聞きしたいことがあるそうです」と言って渡辺真理嬢に話を振った。嫌な予感がしたが、やはり質問は「不倫問題」……。

 渡辺真理嬢といえば、オウム・ビデオ問題でTBSがワイドショウを打ち切った時、「大好きなワイドショウがなくなるのは悲しい」と発言して大バッシングを受けた元TBSアナウンサーである。そういう人にこういう質問をさせる意図は奈辺にありや?
 政治記者の菅沼栄一郎やメインキャスターの久米宏は不倫騒動のけじめになんて興味ありません、政治家としての本質とは直接関係の無い事柄で足を取られたけど、あれはもう終わった話、明日から始まる国会では野党のホープとして自自連立内閣との対決に専念して下さい……でも、(ワイドショウ志向の)真理ちゃんはぜひ聞きたいらしいので、可愛さに免じて軽く答えてあげて下さいよ−−ということだろう。つまりは渡辺真理嬢のキャラクターを利用した、「聞きづらいこともあえて聞いた」「答えづらいことにもちゃんと答えた」という形づくりをするための形式テンパイ質問である。
 が、これがとんだ思惑外れ。「真理ちゃんの質問」への管代表の答えはダメダメであった。何を言おうがひきつったニヤニヤ笑いで全部ぶち壊し。形式テンパイも取れずノーテン親流れの図。ご愁傷様。

2000-06-11:「周辺有事」→「周辺事態」に語句を訂正。



 「インターネット=チャット&掲示板」となるか? 【99年01月12日】

 自殺幇助、薬物悪用犯罪に続いてレイプ依頼事件と、このところネット絡みの犯罪が続いていて、昨日はTBS「ニュースの森」とテレビ朝日「ニュースステーション」がそれぞれインターネット関係の特集を放送した。

 一般のTV番組がインターネットを扱うと、老壮年評論家が女子中学生の性風俗を「解説」しているかのようなものすごいズレがあるものだが、昨日の2局の放送でも「お馴染みのボケ」が楽しめた。取り上げている題材が、チャット、掲示板、掲示板で愛用される顔文字(^-^)、ネット上で匿名で交流する人々、そしてオフ会、なのである。なにを今さら(笑)。
 「なにを今さら」ではあるが、これらが取り上げられたのはTVディレクターが「遅れている」からではなく一連の事件が伝言ダイヤルやWEB上の掲示板を利用したものだったためだろう。問題は(笑えたのは)、番組を進行するキャスターのコメントである。十数年前からパソコン通信で定着しているものを指して、「今、インターネットではこういう新しいコミュニケーションが」云々。やれやれ、誰かレクチャーしてあげればいいのに。
 なにを今さらといえば、TBS、テレ朝ともに「チャットルームに入室してインタビューする様子」を映していたが、これなんかもパソコン通信がTVで取り上げられるようになった頃から使われている定番手法だなあ。インターネット時代(笑)に相応しい報道技法ってないのかね。

 犯罪に悪用されたからこそマスコミはこぞって取り上げているわけだが、「交流」の場こそがホットスポットというのは今後のインターネットの方向性を示唆するものにも思える。ネット上の情報は膨大だが、サーフィンしているだけだとじきに飽きる。ホームページを作って誰でも情報発信できるといっても、誰もが多くの人を惹きつけるコンテンツを作れるわけではない。反応が無ければ更新・維持はできない(個人のホームページの「読んだら感想メール下さい」「ゲストブックに記帳してね」というメッセージは、悲痛な叫びに見えることがある)。結局、インターネットに定着し、飽きずにアクセスを続けている人々のかなりの部分は、以前からあったパソコン通信的交流を動機にしているということだろう。

 「インターネット=WWW」という誤解が蔓延している、インターネットはより広い概念であって、FTP、News、ML等々さまざまな形態があるのに……学術系、あるいは正統派を気取る人の中にはこう嘆く人がいるが、そのうち世間では、WWWどころか、「インターネット=チャット&掲示板」という認識が定着することになるかもね。


 余談1
 「ニュースステーション」で流れた「チャットで取材」の画面に、取材者のリモートホスト名がしっかり映っていた。放送後、当該サーバーはさまざまなアタックを受けたであろう、に1000カノッサ(笑)。

 余談2
 「ニュースステーション」はオンラインゲームの代表として東風荘を紹介したのだが、ゲームウインドウ上欄の左右両方が「広告募集」メッセージになっていた。機を見るに敏だねえ。>東風荘運営者

 余談3
 久米宏は、女性キャスター2人の手を握り締めつつ「この感じ(体温)はTVでは伝わらない。インターネットではもっと伝わらない」と話を締めくくった。
 「てめー、さっさと清かチャンの手を放せ!」
 「真理サマに触れるな、このセクハラ野郎!」
 という全国の女子アナ・ファン怒りの念波は、彼に伝わったであろうか? (-_-#)凸


 追伸:ゲストブックに記帳してね☆  (-。-)y-゚゚゚


余談3について補足(2000-06-11)
 愛称からニュースステーションのホームページ内のキャスター・プロフィールページにリンクしてあったのだが現在は当該ページが無くなっている。清かチャン=白木清か嬢(いわゆる「女子アナ」ではなく、テレビ朝日の記者)、真理サマ=渡辺真理嬢である。白木嬢については大阪日刊スポーツのインタビューを参照。なお白木嬢は昨年、テレビ朝日を寿退社している。


(2002-04-11)
 大阪日刊スポーツの白木嬢インタビューページが無くなっているのに気づいた。リンク削除。 念のため過去のインタビュー一覧をチェックしてみたら今年3月の渡辺真理嬢インタビューにヒット。

渡辺キャスター…「Nステ」5年目欠かせぬ存在 大阪日刊スポーツ


(2002-10-16)
 4月に見失った大阪日刊スポーツの白木嬢インタビューを発見。再度リンクしておく。

白木清かさん 現場に恋するお嬢様 ('98 9/29、大阪日刊スポーツ




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