近況雑談の過去ログ24(2001年6月)


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06-29 盗撮犯復帰・PTSD離婚
06-24 「ダーマ&グレッグ」 /英語の悪態
06-23 『ソ連に幽霊は存在しない』 /アエラ惹句全集
06-18 にゃんにゃんごうごう
06-15 「栞と紙魚子」/帽子男は出頭していた
06-11 メモ(糸瀬茂3)
06-10 メモ(高田渡・あがた森魚)
06-09 バラの下で/児童刺殺事件(メモ)
06-03 「みんなのみんなのいえ」

 2001-06-29  盗撮犯復帰・PTSD離婚

 27日にはNステ語録でもやろうかと思っていたのだが、暑さに負けて書けずじまい。


 スカート内盗撮の田代まさしが芸能界復帰。ニュース番組でさえ「さん付け」扱いだったのでいずれ復帰するとは思っていたが、謹慎期間わずか9カ月とは。タレントがどんどん政界進出しちゃってTV業界は人材が払底しているらしい。

 巨泉が参院選出馬(笑)。民主党から(笑)。あっと驚くタメゴロウぅぅぅ! ゲバゲバ、ピー!

 巨泉と組んで「ゲバゲバ90分」をやっていた前田武彦は、バンザイ事件でパージされてTVに復帰するまでに10年ぐらいかかったんじゃなかったっけ。前武が自虐ギャグ的に「ばんざいドンキー」とかいうおまけグッズのTVCFに出演した時には、元ネタの事件を覚えている視聴者なんてほとんどいないんじゃないか、というほど年月が経っていた記憶がある。私は巨泉より前武の方が好きだったので、かつての精彩を失った前武をTVで見た時は悲しかった。

 巨泉の顔を見ると全盛期の前武を思い出して悲しくなる、これをPTSDと……は言わない。
 いや、心の病気を冗談にしちゃいかんのだが。専門医の診断だろうから間違いなくPTSDなのだろうが、しかしマチャアキの元妻の、離婚会見における語りの説得力の無さはすごかった。あまりに浮世離れした生活をしている人は、一般人の共感や同情を求めてはいかんのだな。会見翌日のインタビューで講談社の担当編集者は「理解されずバッシングされることも予想していた」と語っていたが、元妻の自著本の宣伝に失敗するだけならともかく、「PTSDって要するにワガママ病?」という誤解を広めた可能性もある。罪作りなことである。

 説得力の無さといえば。和田アキ子はこの数カ月、TVで見かけるたびに田代まさし擁護論(本人は十分反省している、ボランティア活動をしている、家族も懸命に支えている、等々)をぶっていたが、あれは説得力は無くても、「あたしは田代まさしを応援するぞ、文句のある奴は前に出ろ!」と公の場でアピールし続けることに意味があったんだろうなあ。前武にも和田アキ子のような強力な支援者がいれば、早い時期にTV復帰できたのかも。



 2001-06-24  「ダーマ&グレッグ」 /英語の悪態

 某美少女ゲーム作家のWEBコラムで紹介されていた海外ドラマ「ダーマ&グレッグ」(NHK、土曜深夜)を見た。ラブラブ☆レッドゾーン爆走の下ネタ満載ホームコメディ。深夜帯ではNHKでもこういうの放送するんだなあ。
 今週初めて見たのでよくわからんのだけど、グレッグはインテリのエリート、妻のダーマはヒッピー文化の流れをくむ自然派らしく、夫婦の価値観の対比がこのドラマの基本ネタの一つとなっているらしい。今週放送のエピソードでは名門小学校(グレッグの母校)が話題となるのだが、その入学案内書(?)の写真を見てダーマが「みんな同じ服着せられて軍隊みたい。子供たちが可哀相!」とか「金属のトレイで食事させるなんて、刑務所みたい!」と「オーマイガッ!」を連発するというぐあい。
 この名門校をめぐるやりとりのなかでグレッグが「刑務所じゃない、これはライトが設計した食堂だよ」と防戦気味に応酬するセリフがあった。伝統ある名門校たることを一言で示すうまいセリフではあるが、しかし「ライトが設計した」だけでアメリカの視聴者には意味が通じるのかしらん。ドラマの後半にもダーマが同じフレーズを口にする場面があった。気になって英語版の音声を聞き返してみたら2箇所ともフルネーム(フランク・ロイド・ライト)であった。なるほど。……あ、いや、ライトでわからなけりゃフルネームでも意味不明か。
 英語音声で聞き返してみたのは下ネタ部分がオリジナルではどうなっているか確かめてみたかったからでもあるのだが、まったく、単語一つさえ聴き取れなかった。(^ ^;)

 3月下旬にNHKで放送された「アクターズ・スタジオ・インタビュー」のゲストはメグ・ライアンだった。後半の一言質問コーナーで「よく口にする悪態は?」と問われて「ファック・ミー」。その答と、絶句するインタビュアーのリアクションに会場(役者の卵たち500人)は爆笑だったのだが、その部分の音声はピーになっていた。アメリカの視聴者はあのピーからどんな言葉を想像したんだろう(笑)。
 ピーで消されているのになぜわかるかというと、字幕で「ファック・ミー」と出ていたから。「ファック・ミー」はNHKの、というか日本の放送コードにはひっかからないわけだ。たぶん「ファック・ユー」もOKなんだろうな。
 あれ? 書いていて気づいたのだが、「ファック・ミー」という字幕を作れたということは、NHKが入手したVの原盤では音声は消されてなかったのか? ということは、あのピーはNHKが入れたのか、もしかして?

 メグ・ライアンは「恋人たちの予感」の食堂のシーンで“オルガスムスを装う女”を熱演する。その撮影の終了後、食堂から「メグ、持っていきな」と極太のサラミをプレゼントされたんだそうな(食堂のオヤジのダミ声を真似て語るメグに会場爆笑)。「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でこの撮影秘話を聞いた時にはピンとこなかった。サラミってなんだよ? ところが「ダーマ&グレッグ」でも男のアレの隠喩として極太のサラミが登場した。どうやらアメリカでは、「極太サラミ」がアレを連想させる定番アイテムらしい。ただしこれは私の誤解かもしれない。「極太」と言いつつ、冷蔵庫から取り出されたソレは、長さも太さも野球のバット並みの小ささだったので。 :-p

 06-29:文章ちょっとリライトした。



 2001-06-23  『ソ連に幽霊は存在しない』 /アエラ惹句全集

 『ソ連に幽霊は存在しない』(R・ヒル、ハヤカワ・ミステリ)読了。先月の本棚漁りで発掘した未読本。「ペレストロイカ以前のモスクワで起きた幽霊騒動の顛末は? 鬼才が贈る傑作短編集」(帯の惹句)。
 収録されている六つの短編はミステリというより“意外な結末”モノ。表題作の仕掛けは途中で予想できたが、オチの処理の仕方が変わっている。スレた読者向けに「さらにひとひねり」してかえって後味を悪くしている印象あり。意外な結末といえば同じく英国作家J・アーチャーの『十二の意外な結末』(新潮文庫)があるが、アーチャーよりもシニカルで毒気が強い。

 上の文を書いていて気づいたのだが、Windows98のIME98には「惹句」が登録されていない。この言葉、あまり一般には使われないのかと疑問に思い、WEBで検索してみた。けっこうヒットする。で、「AERA」の7年分の惹句を集めたいかしたページを発見。惹句集成であると同時に、7年間の各週のトピック一覧ともなっている。資料価値があるだけでなく、惹句やトピックに対する編者のコメントも鋭い。

 ・→ アエラ惹句全集

 誰が作ってるんだろと思って上の階層に上がってみたら、かの有名なニセ首相官邸ホームページがあってびっくり。



 2001-06-18  にゃんにゃん ごうごう

 これは先々週のトピックだが、アイドル女優の(?)全裸写真流出騒動に言及するページをサーフしていて、「その真偽をめぐっては、ネット上などで熱心なファンが本物説、そっくりさん説、CG処理説といった具合に喧喧諤諤(けんけんがくがく)の議論を繰り広げています」という週刊現代の記事が目にとまった。ありがちな誤用ではあるが、ご丁寧にルビまでふって気づかないとは講談社の編集部も情けない。

 ……と呆れてそれきり忘れていたのだが、先ほど備忘メモを整理していてIME98が「喧喧諤諤」を一発で熟語変換するのに気づいた。念のため確認してみた。 大辞林 第二版(goo)では、

けんけん-ごうごう ―がうがう 【喧喧囂囂】

(トータル)[文]形動タリ
多くの人が銘々勝手に発言してやかましいさま。「不注意な発言が―たる論議をよびおこす」〔「喧喧諤諤(がくがく)」は「喧喧囂囂」と「侃侃(かんかん)諤諤」とが混交し誤用されたもの〕

 とある。ほら、やっぱり「誤用」だよ。さらに追い討ち。「新潮国語辞典」には「けんけんがくがく」の項目・解説は無い。「三省堂国語辞典 第四版」では、「けんけんがくがく[<喧喧諤諤>](名)「けんけんごうごう(喧々囂々)」と「かんかんがくがく(侃侃諤諤)」が混同されてできたことば」という項目&解説を載せ、続く「けんけんごうごう」の項目内で[「けんけんがくがく」は あやまり]と断じている。
 三省堂の「必携用字用語辞典 第四版」や新聞社系用語集(朝日、読売、毎日、共同通信)は、すべて「けんけんがくがく」は「誤り」「誤用」としている。

 さてしかし。記者がFEP(IMEなど)に騙されて誤記したとしても、講談社のような大出版社の校閲がこんな「ありがちな誤用」を見逃すとは妙である。すっきりしないのでさらに念のため「広辞苑」(91年発行の第四版)を見てみた。すると、なんと、「けんけん【喧々】」の項に、

―・がくがく【喧喧諤諤】(「喧々囂々(けんけんごうごう)」と「侃侃諤諤(かんかんがくがく)」とが混交して出来た語)多くの人がいろいろな意見を出し、収拾がつかない程に騒がしいさま。「―として議長の声も聞こえない」

 と語義解説を載せている。語の成立経緯にふれるのみで誤用との指摘はない。「広辞苑」は10年前の時点でこの語を容認していたのか? 「広辞苑 第四版」より新しい「三省堂国語辞典 第四版」がこの語を「あやまり」としている点がひっかかるが(「三省堂国語辞典」は新語を積極的に採録する辞典である)、「ありがちな誤用」とか「講談社の編集部も情けない」という私の感想は言葉の最前線から取り残された的外れなものなのかもしれない。

 言葉は生き物。出自が誤用でも広く使われ続ければやがて市民権を得る。時代は変わる。大物アイドルのニャンニャン写真が流出しても不思議はない。ということで、本物説に1000カノッサ。



 2001-06-15  「栞と紙魚子」(諸星大二郎) /帽子男は出頭していた

 糸瀬茂論文掲載の「文藝春秋」目当てに書店へ。が、目次を見て購入意欲消滅。糸瀬論文は後日、図書館で読めばいいや。論文1本のために680円出すのはあほらしい。諸星大二郎『天孫降臨』(集英社)、『栞と紙魚子と青い馬』(朝日ソノラマ)と「噂の真相」7月号を買う。

 立ち読み防止帯を巻かれた諸星本を買うのはギャンブルである。収録作品の重複が多い。『天孫降臨』は外れであった。表題作以外の「闇の客人」「川上より来たりて」「天神さま」はすべて既読であった。ただしこれは(たぶん)重複収録ではなく、友人宅で読んだのだと思う。失敗失敗。
 『青い馬』は当たり。女子高生モノ(?)を描いているとは知らなかった。この「栞と紙魚子」シリーズはギャグ要素を多めに入れた現代日本版「諸怪志異」というところか。諸星大二郎はコミカルSF短編も描いているが、そのギャグセンスと伝奇・怪異テーマがほどよく融合した作品世界を作っている。伝奇・怪異テーマ+スラップスティックの先行作には高橋葉介の「夢幻紳士」があるが、絵柄の違い同様、味わいはずいぶん異なる。
 物語の舞台が私の地元で鬱状寺の商店街(○○横丁)や股川上水など馴染みの風景がちらほらあって楽しい。巻末の地図を見るまで首山町がどこなのかわからなかったのは不覚。そうか、あの坂の上にはこんな不気味な神社があったのか(無い無い)。主人公の紙魚子(しみこ)という名前はあんまりだなあ。せめて紙魚(しお)とかにすればいいのに。この命名の由来、シリーズ第一集でなにか説明があるんだろうか(「青い馬」は第二集)。

 ちょっと気になったこと。この2冊は出版社は違うがどちらも柱に書名を入れている。気が利かない。作品集の柱は作品タイトルにしないと邪魔なだけである。


 「噂の真相」の浅草・女子短大生刺殺事件に関する記事には驚かされた。似顔絵の出来がいいのはすでに容疑者を特定していて目撃証言ではなく写真から似顔を作成したから、という情報は逮捕後まもなくネットでも流れていたが、帽子男は工事現場で逮捕されたのではなく、新座署に自ら出頭していたとは。「週刊文春」で既報らしい。以前、「(各紙の記事の)通報の時刻・方法、所持品押収に関する記述が微妙に食い違っていて興味深い」と書いたが(5月13日の雑談)、「逮捕劇」自体が警察のウソだったのか。

 食い違いに気づいたのは記事を読み比べたからだが、これは会社関係者が本人不在の間に私物検査をして警察に通報した、という報道がひっかかったから。当初の報道で「通報者」とされた関係者(会社社長)は、実際には容疑者を警察に連れて行ったらしい。この社長が何故警察の虚偽宣伝に協力するはめになったのか(どう因果をふくめられたのか)「噂の真相」の記事からはわからない。今度図書館に行った時に糸瀬論文を読むついでに「週刊文春」のバックナンバーも探してみるか。
 しかし呆れた話だ。嘘吐きは泥棒のはじまりだよ。>警察

 泥棒といえば(不穏当な前フリ)、「噂の真相」今月号は田口ランディの盗作疑惑を取り上げている。が、疑惑(騒動)の紹介程度で新ネタ・新展開は無し。



 2001-06-11  メモ(糸瀬茂3)

 9日(土曜)の「ウェークアップ!」(日テレ系)の特集は糸瀬茂だった(「癌に冒された経済学者の最終提言」)。糸瀬氏をTVで見るのは4月のNステ以来だが、氏のやつれた顔に気をとられてしまって提言の内容は頭に入らなかった。今月の「文藝春秋」に氏の論文が掲載されているとのこと。

 公式サイトには特集Vの要約が掲載されている。NステWEBもこういう梗概を掲載してくれるといいんだがなあ。田中真紀子インタビューのように動画ファイルの方が嬉しいものもあるけど。

 ・→ WAKE UP! WEB (読売テレビ)、 特集バックナンバー(6月9日放送)



 2001-06-10  メモ(高田渡・あがた森魚)

 金鳥120時間用マットのTVCF「めんどうだ篇」を目撃。高嶋兄弟や山瀬まみが出ている最近の金鳥シュール系CFは趣味が合わないが、これはいい。短調のワルツの調べがどこか懐かしい。このヒゲオヤジは何者だ? WEBで検索してみた。高田渡であった。何者だとか言いつつ実はヒゲをはやしたあがた森魚かもと推測していたのだが、大外れ。(^ ^;)

 ・→ 120時間用マット めんどうだ篇金鳥


 検索の過程で、あがた森魚と栗コーダーのジョイント・ライブを知る。昨年のあがた森魚の活動記録を眺めていたらライオン・メリィなんて名前があって懐かしかった。

 ・→ 二十世紀少年クラブ (あがた森魚のファンクラブ・サイト)



 2001-06-09  バラの下で /児童刺殺事件(メモ)

 先週のNステ録画分をほぼ見終わった。
 金曜(1日)のお天気コーナーは「バラの下で(交わされた会話は第三者には漏らさない)」の故事にちなんでバラの花束を屋根枠からぶら下げていたが、なんだか安っぽいお呪いみたいだった。飯島&森永コンビの絵柄はSub Rosaというより薔薇族を想起させ……あ、いや。ま、んなこたぁどうでもいい。
 私はこの言葉を「ゴルゴ13」で知った。それで、この言葉からはスパイ活動や外交を連想する。ロバート・ミッチャム主演のスパイ物TV映画では、諜報機関のボスが機密ファイルをバラの温室に隠しているというベタな使われ方をしていた。そういや田中真紀子が外務大臣に就任したとたん、日本の外務省のバラはすっかり枯れ果てたようで。


 8日昼過ぎ、TVをつけると大阪の児童刺殺事件を報じていた。夕方までTVに釘付け。午後12:45〜13:00の時点でNHKは「(逮捕された男は)大阪・箕面市の37歳の男性の免許証を所持」、ANN(テレ朝)は容疑者を実名報道。が、ANNは午後2時半には匿名に切り換えた。JNN(TBS)とFNN(CX)は午後4時から報道特番を放送したがJNNは匿名、FNNは実名報道。
 夜のNステは実名報道。ANNがあらためて実名に切り換えたのがどの時点なのか、夕方の時間帯をチェックしていないので不明。久米宏が読み上げた実名報道に関する「お断り」からすると、夜になって方針変更したように思える。(「容疑者の措置入院歴などを考慮して、これまで容疑者を匿名で報道してきました。しかしその後、取調べに対して犯行の動機などを詳しく供述していることがわかりました。児童8人を刺殺した事件の重大さと社会的公益性を考慮して、正確な報道を期するために今後容疑者を実名で報道することにしました」

 読売オンラインも同様の「お断り」を掲載している。 「宅間容疑者は刑事責任を問えない可能性もありますが、読売新聞社は事件の重大性を考慮し、実名で報道します」
 ・→ ニュース特集 包丁男児童刺殺 (読売新聞)

 JNNも夜になって(?)ANNと同様に方針転換、実名報道へ。 「JNNでは逮捕された男を匿名で放送していましたが、落ち着いて調べに応じ、動機についても詳しく供述していることなどから、今後実名で放送します。 [中略](8日21:00)」
 ・→ 児童殺傷事件で宅間容疑者を取調べ (TBS News i)

 誤認逮捕や冤罪の可能性を考慮し報道被害を抑止するためには、責任能力に関係なく容疑者も被害者も原則匿名にすべきだと思う。報道は懲罰ではないんだから(匿名報道では冤罪を晴らす機会が減るという説もあるが)。ただ、今回のような社会全体を震撼させる事件の場合は例外であって、責任能力の有無にかかわらず実名報道とするのが妥当だろう。

 TV画面で見ていると現実感がない。映像や音声よりも新聞記事の医師の談話、「泣き崩れる両親には、『体が温かいうちにほおずりしてあげて』と促した」という短い一文の方が、はるかに胸に迫る。
 ・→ 「なんでー、なんでー」 病院に響く声 (朝日新聞)



 2001-06-03  「みんなのみんなのいえ」

 三谷幸喜の監督第2作「みんなのいえ」の公開を1週間後に控え、2日夕方、CXで特番「みんなのみんなのいえ」が放送された。メイキング物は以前は劇場での公開後に流すものだったが最近はフライングが増えた。劇場公開からビデオ化までのサイクルが早くなったためか、メイキング物も宣材化している。特番に限らず、TV局が制作にかんでいる映画やイベントは一日中スポットが流れ、通常の各番組内でも宣伝が繰り返される。CXはニュース番組さえ宣伝に使う。広告費に換算したら莫大な額になるんだろうなあ。
 ……話が逸れた。「みんなのいえ」特番はとんでもない力作であった、ということを書くつもりなのであった。

 特番は導入部で日本の持ち家事情の解説をし、監督の三谷幸喜や出演者へのインタビューを柱に三谷作品の紹介や役者の経歴、撮影裏話をからめるというオーソドックスな構成・進行。構成は王道だが味付けが並ではない。これが、アメリカの映画紹介番組が年に一度の日本映画特集で「みんなのいえ」を取り上げた、という設定で作られているのである。だから全編英語。一部は(CBSニュースのように)日本語に吹き替えられ、他は日本語あるいは英語の字幕付き。

 はじめは、インタビューに嬉々として答える三谷幸喜のヘタレた英語と軽喜劇演技を(この人は役者志向がまだ捨てられないのか)と呆れつつ見ていたのだが、田中邦衛へのインタビュー・シーンで度肝を抜かれた。パロディ特番に大ノリで、英語で熱弁を振るうのである。ハリウッド・スターのようなオーバーアクション付きで! まいった。田中邦衛にこんな“役”を演じさせてしまうなんて、凄い。
 この手の遊びが好きそうな唐沢寿明もノリノリ。途中で興奮して目の色が変わり巻き舌のラテン訛り英語でまくしたてるという怪演を披露。映画の見所を問われてまずは真面目に答えた後、「二番目の見所はこのメイキングだ」「昼間にやる番組にしてはものすごく手間がかかっている」「なんで僕は今、英語で喋っているのか、自分でもさっぱりわからないよ!」「なぜメイキングでここまで凝らなければいけないのか、不思議でしょうがないよ」(字幕)。
 田中邦衛や唐沢寿明がぶっ飛んだ演技で遊んでいるのにひきかえ、ココリコの田中直樹はいまいちであった。コメディアンが役者に遊びで負けていてはいかん。

 いや凄い凄いと感動しつつ見ていると八木亜希子登場。ここでまたやられた。なんと意表を突いて八木嬢はフランス語なんである。三谷幸喜のインタビューは吹き替え、男優三人は日本語字幕だったが、八木嬢のインタビューでは日本語字幕の下にぼかした英語字幕がかすかに見えているという憎い演出。ここまでやるか。
 英語字幕は「つんくタウン」の仕掛けだが、“仮想と見立て”の発想は「カノッサの屈辱」の流れを汲むものか。映画本編に対抗心を燃やして制作したかのような、とんでもないメイキングであった。さすが遊びのCX。いいもん見せてもらった。


 メモ。今週は多忙で外出多し。Nステの録画分は未消化。



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