石原都知事の「三国人」発言



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 このページは新しい文を下に追加する形になっている。資料系リンクはページ最下部。

2000-05-02

近況雑談から抜粋、作成。

2000-05-07

4月17日の項の語句を訂正した(ポリティカル・コレクトネス)。

2001-02-21

資料系リンク、追い出せ! 強のトリ のURLを更新した(サイト移転)。

2001-04-10

時系列(新しい文ほど下)に配列し直した。

2002-08-21

2001年4月10日の雑談(1年後にまた差別発言)を追加。

2002-09-08

2002年9月2日の雑談(共同通信の誤報に認可取消すと恫喝)を追加。

2004-02-16

資料系リンク石原慎太郎暴言データ集を追加。



 2000-04-11  「三国人」発言

 「三国人」発言の石原東京都知事が、記者に差別発言を追及されてまた凄い発言をしたそうな。

 同行記者団からは差別用語ではないかとの質問が出たが、石原知事は「古い人間だから、古い表現を使ったのかもしれないが、差別は全くない。どこがいけないか説明してほしい」と語った。さらに、「東京の犯罪は凶悪化しており、全部三国人、つまり不法入国して居座っている外国人じゃないか」と「三国人」発言を繰り返した。また、関東大震災の時に在日朝鮮人が虐殺されたことに触れ、「今度は逆に不法に入国している外国人が必ず騒じょう事件を起こす」と付け加えた。

・引用出典:→ 毎日インタラクティブ 4月11日の記事

 東京都知事は、東京で起こる凶悪犯罪は全部不法入国した外国人がやっている、とお考えのようで。日本国籍を持つ犯罪者にとっては有り難いお言葉である。

 「古い人間だから、古い表現を使ったのかもしれないが、差別は全くない。どこがいけないか説明してほしい」というのはまずいなあ。これは「ボクは新しい人間だから、古い表現の使用法を知らずに使ってしまいました」と言わなくちゃ言い訳にならない(笑)。蔑称であることを承知の上で使ったってことは、「三国人、つまり不法入国して居座っている外国人」という姑息な言い換えをすることで露見しちゃってるけど。それに、そもそも「三国人」という言葉を抜きにしても、石原都知事の物言いが差別発言であることに変わりはないんだよな。

 冒頭に書いた凄いというのは騒擾事件云々の部分。蘇ったのは死語ばかりではない。関東大震災で在日朝鮮人を虐殺した人々の疑心暗鬼の心理まで復活の図。



 2000-04-17  「三国人」発言2

 昨日は「三国人」発言関連のニュースは見当たらなかった。公式の場であからさまな差別発言をし、開き直って謝罪もせずさらに次々と暴言を重ねている都知事に対して、都議会もマスコミも辞任を求める気はないようだ。では都民は? ……都庁に寄せられた「都民の声」は、12日午後の時点で石原発言支持が6割以上(626件)なんだと。

 「三国人」発言が飛び出した9日の挨拶の冒頭で石原都知事は、 「今日(こんにち)の日本を眺めますと、残念ながらどうも国の外側も内側もタガが緩んできたなという感じを否めません」(*1) と言っている。認識が甘い。暴言都知事の支持派が6割以上というのは、もはや「タガが緩んできた」なんて生易しい状態ではない。

 石原都知事は12日の記者会見やその後出演したTV番組などで「『三国人』というのは外国人という意味だ。辞書に第一義として載っている意味で使った」云々の言い訳を繰り返している。みっともない。苦し紛れとはいえ、これでは、元作家なのに辞書もまともに読めないと思われるぞ。−−「当事国以外の国の人」は外国人という意味? バカも休み休み言え。−− しかも、12日の記者会見では辞書を引き合いに出した直後に戦後混乱期の話を持ち出して「第一義」以外の意味で「三国人」という言葉を使ったことを無自覚に告白しちゃってるし。

 ここ数日発言をワッチしていて気づいたんだが、石原慎太郎って責任転嫁が好きだな。10日の記者会見ではマスコミの背後に銀行筋の意向があるとほのめかしているし、12日には共同通信の記者を名指しして「この騒ぎの元凶」と非難している。その後も「一部のマスコミの不備な報道のせいで発言の意図を誤解された」と呪文のように繰り返している。これは個人的な資質・性癖というより政治家的護身術なのかもしれないが、見苦しい。

 政治家的といえば煽動の話術にも長けているな。今夜(17日)のTBS「News23」生出演では、「不法入国した外国人による凶悪な犯罪」について、「当局からいろいろ情報を聞かされているが、とても言えないようなひどい実態がある」なんてほのめかし発言を繰り返していた。都知事や警察当局だけが知る、TVではとても言えない東京の闇……まあ怖い。こういう不安を煽るだけの発言をいくら繰り返しても問題発言が正当化されるわけではないんだが、世論操作術(自己正当化の手法)としては有効なんだろうな。

 石原慎太郎は思想的には極右、タカ派の愛国主義者なんだろうが、言葉に関しては非愛国的だな。英語への偏愛がすごい。愛というよりコンプレックスか。この1週間だけでも、アーティクル、レイシズム、ライオット、ポリティカル・コレクトネス(*2) 、等々、外来語や(外来語未満の)生の英単語・熟語をやたらに乱用している。適当な日本語表現の定着していないポリティカル・コレクトネスはさておき、他の語は立派な日本語があるのにねえ。名詞はまだいいとしても「(発言の一部を)トリムする」なんて言いまわしなどは明らかに未熟。それにこれ、英語(英単語)の用法としても変だと思うゾ。 :-p

 石原慎太郎って人は、言葉に対しては杜撰で粗忽で無責任でしかも妙な英語コンプレックスがあるが、煽動者としては有能なのかもしれない。


(*2) 2000-05-07:語句を訂正した(ポリティカル・コレクティブ → ポリティカル・コレクトネス)
 これについては5月7日の近況雑談を参照されたし。


 2000-04-17  石原発言関連の余談(放送禁止用語)

 石原発言に関してはあちこちに関連ページが作られている。サーチエンジンのLYCOS にはトピックス/政治・社会/石原知事発言問題 というページが新設されていて、ページの左欄に関連ウェブサイトとして「放送禁止擁護」というリンクがある。ありがちな誤字だが、一瞬、石原発言擁護派のリンク集かと思った(笑)。

 リンクされているのは「放送禁止用語」の一覧を掲示しているサイトなのだが、入口がアダルトサイトまがいの警告ゲートになっている。どういうつもりなんだか。過去にコンテンツを盗用されたとかで「無断転載・引用禁止」「無断リンク禁止」を明記し、著作権はサイト作者に属すると宣言している。が、この種の資料では必須の、出典・参考資料が記載されていない。掲載している用語や解説コメントは、サイト作者が独自に取捨選択して作成したオリジナルなものなのか? 堂々と著作権を主張してるんだから、まーたぶん、そーなんだろうな、と理解しておこう。詮索しても不毛。
 「無断リンク禁止」ということなのでリンクはせずテキストでURLを書いておく。  http://www.ops.dti.ne.jp/~stsuno/kenter.html

 余談の余談1。「無断リンク禁止」に関しては諸説があるようだが、私は「WWWで公開する以上、無断リンク禁止はナンセンス」という意見に賛成。

 余談の余談2。正当な引用ならば許諾は必要ない。無断転載はともかく無断引用を禁ずるのはおかしい。

 4月24日追記。Lycosの誤字、まだ訂正されていない。誰か教えてあげればいいのに。(^^;)



 2000-04-25  「三国人」発言3

 12日午後の時点で都庁への意見の6割が石原発言支持という報道には呆れていただけだった。が、新聞社などのアンケートでも発言支持派が軒並み7割前後らしい。信じらんな〜い、ってカンジ? 「あの発言はまずいけど、でも石原さんには頑張って欲しい」ってのならわかるんだが。
 ああいう差別発言を支持する人がいてもいい。しかし、それが、国民(都民)の7割前後ってのは、マジ怖い。

 発言支持派の意見はWEBでもマスコミ・サイトの意見ページなどで目にすることができる。差別意識剥き出しの暴言や硬直した反マスコミ論は論外として、穏当な文面であっても、一理あると肯ける理由・根拠を明示した意見は見当たらない。大雑把に拾い読みした範囲でのことだが、発言支持派の意見はどれも、「一部のマスコミが知事の発言を正確に報道しなかったせいだ」とか、「外国人の凶悪犯罪は増えている」とか、石原都知事自身が繰り返している不備で粗忽で無責任な主張と嘘(*) をそのままなぞったものだ。あとは、理屈抜きの「石原さん頑張って」の類い。

 差別発言もお咎めなし、どころか支持派が約7割。そうか、そういうことか。
 震災の時にはパスポート必携だね、東京都民は。日本国籍ならば、だが。剣呑剣呑。



 2000-05-02  「三国人」発言4

 石原都知事の「三国人」発言に対して、WEBページ・掲示板・マスコミサイトの投稿欄などに多くの意見が掲載されている。今回の騒動で初めて「三国人」という言葉を知ったという人も多い。これは発言支持派に多いが、少数ながら批判派の中にもマスコミの解説などで意味・用法・背景を知り批判の声を上げている人もいる。
 これは意外だった。日常的に使われていたのは戦後混乱期ではあっても、その後、(闇市などを舞台にした)小説や映画でこの語はよく使われている。4月11日の項で「死語」と書いたが、三十代以上の人は当然として、二十代以下でも本好き、映画好きの人なら知識としては知っているはずだと思い込んでいた。

 もっと意外だったのは、偏見と差別意識剥き出しの妄言を支持する人が非常に多いということだが、これはまあ、現在の日本人の意識はそーいうことになっているということだな。事実として受けとめるしかない。11日の項で「疑心暗鬼の心理まで復活の図」と書いた時には、これは石原慎太郎というアナクロな世迷言都知事の頭の中だけのこと、と思っていたのだが。

 グァテマラで日本人観光客が現地の人に撲殺された。「外国人が子供を誘拐にくる」という噂が流れていて、その噂の不良外国人と誤認されたためらしい。1日のニュースステーションにスタジオゲストとして出演した大橋巨泉は、このニュースに絡めて石原発言を批判した。(「三国人」という言葉の問題だけが一人歩きしたが)問題は騒擾事件云々の部分。流言蜚語が疑心暗鬼を生み悲劇を引き起こす。都知事という地位にある人が流言蜚語を誘発させるような発言をするのは恐ろしい云々。巨泉は暗に同意を求めたが、久米宏は苦笑いし、「(関東大震災の頃と違い)今の国民は利口になってますよ」と一言コメントで逃げた。
 国民の7割前後が石原発言支持だぜ? それで「利口になっている」と言えるのかね?

 暴言癖のあるヒトがまたやったなあと呆れているばかりではなく、きっちりと理詰めで批判すべきなのかもしれない。が、ばかばかしくて書く気にならなかった。まっとうな批判はすでにWEB上にも無数にあることだし、私はパスして意見のみ表明しておく。
 石原都知事ははっきりと謝罪するか、あるいは辞任すべきである。




 2001-04-10  石原都知事がまた差別発言

 8日、自衛隊記念行事の挨拶で石原都知事は、

「不法に入国した多くの外国人が、非常に卑劣な犯罪をこのごろ繰り返し、東京の治安そのものが非常に危機にひんしているということは、みなさん自衛隊でもよくご存知だと思います」 (引用出典: 石原都知事、外国人犯罪対策訴えるTBS News i

 と語ったんだそうな。
 1年前とは違い、「三国人」という言葉は使わず、「不法入国した外国人が必ず騒擾事件を起こす」などの電波系妄言は無かったらしい。多少の学習能力はあるんだな。もっとも、不法入国した外国人による犯罪で東京の治安が危機に瀕しているなどとは大嘘であり(*1) 、これが偏見と差別意識の吐露でしかないことは1年前とまったく同じであるが。

「また、石原知事は去年の「三国人」発言について、「一部の卑劣なメディアが曲がった報道をして、私だけでなく多くの都民が迷惑を受けた」と述べ、自らが被害者であるとの立場を強調しました」(同上)
 姑息な責任転嫁の手法はあいかわらず。手法というよりこれは性格か。

 9日早朝のテレ朝「やじうまワイド」は新聞記事コーナーでこの件を取り上げたが、2人のコメンテーターは石原都知事が陸上自衛隊を「陸軍」と称したことを「いかにも石原さんらしい」と苦笑するばかりで、差別発言には一切言及しなかった。
 9日のNステは石原発言を報じなかった。(*2)

 1年前の「三国人」発言騒動では日本国民の過半数が石原発言を支持した。もうマスコミには、人気者都知事がどんな妄言を吐いてもそれを批判する勇気はないらしい。情けない話である。

(*1) 嘘っぱちであることはデータを見れば一目瞭然。下記ページ参照。
東京都における来日外国人犯罪の動向分析MMA
石原都知事「三国人」発言に対する『警察白書』等の資料に基づく批判。「(不法入国者による犯罪が)治安上の重大な脅威となっているとか、自衛隊の治安出動が要請されるものというレベルで論じるのは、滑稽である」との結論は、1年後の現在においても妥当なものだろう。
(*2) Nステは明らかに石原都知事批判を避けている。昨年の「三国人」発言以降も石原都知事は三宅島の避難民慰問で都職員を「木っ端役人」よばわりしたり、それを都議会で追及されて逃げ腰の釈明をしたりする醜態を演じているが、Nステは暴言も数日後の釈明も、どちらも報じていない。ダボス会議での演説内容も、批判どころか報道さえしていない(→ 01年1月31日の雑談)。


 2002-09-02  石原都知事の妄言 (09-06追記)

 ・ 慎太郎超ナーバス!?誤報に激怒 (8/30、スポーツ報知・芸能情報
 ・ 石原都知事:誤報の共同通信に「また繰り返せば認可取り消す」 (8/30、毎日)
 ・ 共同通信配信誤報 石原慎太郎・東京都知事「3度あったら認可を取り消す」 (9/1、毎日大阪朝刊版)【上とほぼ同文】
 ・ 慎太郎、「誤報」の共同通信を“恫喝” (8/31、ZAKZAK)

 またまた石原都知事の妄言炸裂。
 3度誤報を繰り返したらアウト? そんなルールが適用されたら1週間以内に新聞・TVなど全マスコミは廃業だな(笑)。都知事サマが問題にしているのは“マスコミの誤報”ではなく“自分に関する報道”だから、都知事サマに関しては礼賛報道以外やらないようにすればオッケーか。いやはや。

 都知事が強力な権限を持っているにしても、誤報をネタに通信社を潰すなんてマジで可能なのか? 毎日の記事では発言を補足して正当な権限を有するかのような書き方になっているが、↓

 「『(誤報は)2度目だ。共同通信の(社団法人としての)認可権は都にある。3度起こしたら共同通信の認可を取り消す』と語った」

  石原都知事:誤報の共同通信に「また繰り返せば認可取り消す」 (8/30、毎日)

 スポーツ報知の記事では東京都のコメントをのせ石原慎太郎の勘違い(ハッタリ?)をほのめかしている。↓

 「都によると、社団法人・共同通信社については、法人としての認可権こそ都にあるが『それ以上(の認可権)はない』という。石原知事の発言については『(許認可について)かなり大きくとらえられているようですが、真意は知事本人しか分からないですから…』と困惑気味」

 慎太郎超ナーバス!?誤報に激怒 (8/30、スポーツ報知・芸能情報

 さてしかし。これが2度目だというなら1度目の誤報とは何か? なんと30日の定例会見で石原慎太郎は、共同通信が今回の誤報を謝罪したことで図に乗って、どさくさまぎれに2年前の“三国人発言”まで「誤報」だと強弁しているのである。底無しの恥知らずだなあ。

 あの一連の騒動に関しては毎日新聞のサイトに特集記事(発言記録)が保存されている。トップページや特集ページ一覧からは辿り着けない経路がわかりづらいので目次にリンクしておく(三国人発言は2000年4月)。

 ・ 石原慎太郎都知事発言 (毎日)



追記 (09-03)
 石原都知事発言のコーナーへは毎日の視点の特集記事一覧からアクセスできる。記述を訂正。他若干リライト。


(09-06)
 毎日の記事は速報のためもう削除されている。ほぼ同文の記事を見つけたのでリンクを追加し、記事からの引用を挿入しておく(引用箇所は完全に同文)。新たに見つけた記事。↓

 ・ 共同通信配信誤報 石原慎太郎・東京都知事「3度あったら認可を取り消す」 (9/1、毎日大阪朝刊版、毎日 子育て・教育

 なお、2つの記事はほぼ同文だが、この9/1付の大阪朝刊版からは8/30付速報記事の末尾にあった次の一文が削除されている。
  「同社の坂下修編集局次長は『発言を取り違えたことは恣意(しい)的ではなく初歩的なミスであり、再発の防止に努めたい。そのほかはコメントを差し控えたい』としている」



資料系リンク



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