「渡辺真理」を検索して田口ランディを知る


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2000-06-20 近況雑談のつもりで書いてたら長文になっちまったので独立ページとして作成。
2001-07-27 「日刊!業界人交換日記」へのリンクを修正(旧アドレスでも繋がるが)。
田口ランディの2000年2月6日の日記(「日刊!業界人交換日記」内)へのリンクを文中に追加。なお、この日記は筑摩書房から『ぐるぐる日記』として出版されている。
2001-11-21 MYCOM PC WEBのコラム(「ドリーミングの時代を読む」)のファイル配置が変わっているのに気づいた。リンクを修正。
2002-08-28 作品名を訂正:「去年マリエンバードで」→「去年マリエンバートで」 (訂正余話
なお、田口ランディのコラムでは「去年マリエンバーで」になっている。
2002-10-22 田口ランディのコラムMSNジャーナル)のリンクを修正。/ 関連リンクの体裁を修正。
2004-10-22 注記(*1)のリンクを張り直した(移転先発見)。 /現在当ページには多数のデッドリンクがあるが、URLの記録としてそのまま残しておく。
2004-10-24 本文中で言及しているMYCOM PC WEB掲載のコラム2本の代替リンクを注記に追加しておく。(他のデッドリンクはURLをメモしてInternet Archiveで探して。)


盗作問題については 田口ランディ盗作疑惑 を参照されたし。(2002-04-03) 


 2000-06-20  「渡辺真理」を検索して田口ランディを知る

 今年1月、WEBで「渡辺真理」を検索していて田口ランディのコラム「こころの教育ってやつ」(*5a)に辿りついた(*1)。News23に出演した宮台真司の教育改革論(*4)に違和感を表明したものだが、その取っ掛かりとして渡辺真理嬢の発言を引き合いに出している。このコラムはあまり感心しなかったが(後述)、行間に見える情念に惹かれて他のコラムも読んでみた。読みやすい文章で勢いもあって中身も濃い。

 続けて数本読んで、残りは後日読むことにしてとりあえずダウンロードして……それきり忘れていたのだが、2週間後、TVで田口ランディその人を見ることとなった。CXの「花やしき」という番組。スタジオゲストとして番組前半で大いに語ったらしいのだが、残念ながら私は後半のビットバレーのレポートしか見ていない。番組エンディング間近になって司会者が番組出演の感想をたずねるまで、この日のスタジオゲストが田口ランディだということもわからなかった。

 司会者の儀礼的な問いへの田口ランディの答えは強烈だった。「前半部でしゃべり過ぎたせいか、後半では誰も私に話をふってくれなくて発言できなくて残念だった」云々。これは、番組への不満表明ではないのか? 政治討論番組ならともかく、情報バラエティのゲストがこんな発言をするとは珍しい。常連コメンテーターが慌ててフォローし、司会者が媚び気味に「番組出演の感想をインターネットで書いてくださいね、楽しみにしてます」と言うのへ、「明日には私の感想を5万人の読者が読むことになります」と豪語。あえて「豪語」と表現する。私はそう感じた。番組のシメでこんな虚勢を張るような発言をするなんて、番組前半で粗雑な扱いでもされたんだろうか?
 上の発言が不満表明、虚勢だというのはあくまで私の印象でしかない。前半で田口ランディが何について語り、司会者やコメンテーターがその発言にどういう態度をとったのかわからないので、とんでもない勘違いかもしれない。印象は強烈だったが、番組を見た当日の近況雑談ではビットバレーについてのみ書き、田口ランディについてふれるのはやめておいた。

 インターネット上で発表される番組出演の感想というのが気になる。翌日からコラムを掲載しているサイトを覗きに通った。が、一向に更新されない。どこか他のサイトに掲載されているのかとあちこち探したのだが結局発見できなかった。WEBページではなくMLあるいはメールマガジンでの公開であったらしい。
 先週、田口ランディの日記を掲載しているサイトをみつけた。さっそく2月6日(出演の翌日)の日記を読んでみた。私の推測は誤解・邪推であったようだ。番組での扱いはわからないが、少なくともコメンテーターたち(テリー伊藤、猪瀬直樹)には丁重に遇されて、気持ちのいいTV出演体験だったらしい。「前半でしゃべり過ぎた」云々は反省の弁、「5万人の読者」は単なる無邪気な自慢だったということか。迂闊な感想を書かなくてよかった。(^^;)

*  *  *


 冒頭でちょっとふれたが、初めて読んだ田口ランディのコラム「こころの教育ってやつ」(*5b)は、私はあまり感心しなかった。
 ツッコミ発言を紹介している(自説展開の取っ掛かりに借用している)だけの渡辺真理嬢の名前は書いているのに、本題の、言及対象である宮台真司をM氏と仮名にしているのは変(*2) 、仮名の使い方が逆じゃないの、とか、渡辺真理を「渡部真理」と誤記している(4ヵ所全部)のは困ったもんだとか、そーいう細かいコトはさておき。
 平易でテンポのいい文章で著者の言わんとすることは直感的に伝わってくるんだけど、言説としては輪郭が曖昧なんである。基本の概念(こころ、教育、洗脳、宗教、等々)が、なんだかボーバクとしている。「こころ」や「教育」が曖昧なためだろう、コラムの主題である宮台真司への違和感表明も空振りになっている。宮台真司の提言は改革というより改善案に近いようなレベルの教育改革論であって、著者が使っている中で最も狭い意味での、自我の核という意味での「こころ」の領域に踏み込もうとするものではない。
 「こころの問題を、システムのなかに組み込んで、方法論で解決しようとしてもそれは無理だ」(*3)と威勢よく喝破してみせたって、相手はそこに立っていないんである。著者の嫌う、世間で使われる「こころの教育」という言葉(提言)にしても、せいぜい徳育の必要性を唱える程度のものでしょ? まあ中には、著者の言う狭い意味での「こころ」を「教育」でどうこうできる(すべし)と考えている人もいるのかもしれないけど。少なくとも宮台真司は射程外。

 このコラムではもう一つ気になったことがある。渡辺真理嬢の疑問提示を「妙な突っ込み」と評し、二つ目のツッコミ発言を紹介する中では「渡部真理という、ちょっとピンボケなアシスタント」と形容しているのだが、この評言、明らかにおかしいのである。だって。「妙な突っ込み」と言いつつ、自説はその渡辺真理嬢の疑問提示にそっくり乗っかって展開しているんだから。自説と同じサイドに立つ発言を「妙な突っ込み」と評するなんてツジツマが合わない。
 「ちょっとピンボケなアシスタント」という評も人物観察が甘いと思うゾ。宮台真司へのツッコミがいい例だが、渡辺真理嬢の一言って、一見「ピンボケ」のようだが実は鋭い指摘・疑問提示であることが多いのではないか?(視界に食物がある時の言動はノーカウント)

 田口ランディの文章はスキが多いが、とにかくテンポがよくてしかも濃密。行間に情念があふれているかのよう。
 ただ、深い内省は他者の心の理解に繋がるという面はあるにせよ、他人(有名人など)を題材にしたコラムは解釈が突っ走りすぎて、著者の思いを対象に投影し過ぎている気配もあってちょっと危なっかしい。それも一つの解釈、あるいは「自分語り」の変奏と割り切れば面白く読めるんだけど。

 尻切れだがとりあえずここまで。「去年マリエンバートで」のこととか寺山修二のこととか(コラム第27回(*6))、ふれたいことがいろいろあるが、いずれ後日稿を改めて。



注記


(*1) 「渡辺真理」を検索していて遭遇したのは下記ページ(田口ランディ論)。田口コラムへのリンクは(MYCOM PC WEBの階層変更により)00年6月当時すでに切れていた。田口コラムはその後数年は下の「関連リンク」でリンクしたURLにあったが、現在は削除されている。
  • 圏外からのおたより > My best of 田口ランディ
移転先を(2つ)見つけたのでリンクを張り直しておく。コラムは同文だが「圏外からのひとこと」収録のものはデッドリンクが削除され追記が付いている。 (2004-10-22 追記)

(*2)  M氏がなんで宮台真司だとわかるかというと、私もこの日のNews23を見ていたから。仮名にする必要があるとは思えないので実名を挙げておく。

(*3)  以下、青字の引用部分の出典は「こころの教育ってやつ」(*5c)

(*4)  2000-06-22追記。News23での宮台真司の発言を文書化しているサイトを見つけた。
(サーチエンジンで発見したものと、宮台真司公式サイトからリンクしているものの2つを併記しておく。)

宮台真司の発言録(仮)「宮台真司と考えるこの夏の子供たち」(TBS「News23」97/7/3)
宮台真司の世紀末発言録「宮台真司と考えるこの夏の子供たち」(同上)


2004-10-24 追加

(*5a) (*5b) (*5c) 代替リンク→ コラム「こころの教育ってやつ」(98/06/16) (Internet Archive)

(*6) 代替リンク→ コラム「去年マリエンバードで」(98/12/07) (Internet Archive)



 関連リンク(田口ランディのコラム&日記)

2002年10月現在、MSNジャーナルのコラムコラムマガジンは連載(更新)継続中。
2004年10月現在、MSNジャーナルのコラムは連載終了してバックナンバーごと消えている。メルマガは04年3月に終了、バックナンバーはまだ読める。


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