脱北日本人妻報道



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 大半は雑談過去ログからの抜粋。とりとめのないメモだが、記録として一つに纏めておく。

2003-06-11:参照リンクに「人権と平和」(ゆあん氏)を追加。


2005年
2005-06-08 脱北日本人妻から手紙  [new]
2005-04-18 脱北日本人妻、北へ



2003年
07-24 脱北日本人妻:実名で訴え
03-07 韓国人男性が抗議
02-25 Nステの検証特集(2/19)
02-21 TBS News(2/14)
02-19 今夜のNステで検証特集
02-17 インタビューV補足
02-16 “誘拐犯”が国外退去
02-05 “誘拐”事件に関するRENKの考察と告知
02-01 訂正

01-31 帰国(2)
01-29 帰国
01-28 帰国近し /脱北支援NGOに外務省の金?
01-23 誘拐か濡れ衣か(2)
01-20 「保護」報道@TV
01-19 誘拐か濡れ衣か
01-18 脱北日本人妻:身柄拘束
01-16 久米宏「金正日以外は全部」 /北朝鮮難民救援基金が実名削除
01-14 記事備忘(「北鮮」、脱北日本人妻)
01-13 脱北日本人妻@Nステ(2)
01-11 脱北日本人妻は誘拐団の人質?

 参照リンク



2005-06-08 脱北日本人妻から手紙06-21 追記

 北朝鮮に“帰った”平島筆子さんから平沢勝栄議員に手紙が来たんだそうな。「幸福に暮らしている」という文面は、唐突できわめて不自然な“帰国”を正当化する北朝鮮(と平沢議員)の宣伝工作としか思えないが、一応記事をメモしておく(短いので全文)。

<平島筆子さん>北朝鮮から平沢議員に手紙「子供と幸福」 (6/8、毎日新聞)

 脱北して43年ぶりの帰国を果たしながら今年4月、再び北朝鮮へ戻った平島筆子さん(66)からとみられる手紙が7日、支援に当たっていた平沢勝栄衆院議員の事務所に届いた。「幸福に暮らしている」との近況報告とともに「孫娘たちと一緒に暮らすことを決心して日本から出てきた」などとつづっている。


06-21 追記

山岡俊介氏の情報紙「ストレイ・ドッグ」に平島さんの手紙、直筆全文が掲載されている。


2005-04-18 脱北日本人妻、北へ

<脱北女性>日本に帰国後、再び北朝鮮へ 北京で会見 (4/18、毎日)

 【北京・西岡省二】02年に北朝鮮を脱出して日本に帰国した元日本人配偶者の平島筆子さん(66)が18日、中国・北京の北朝鮮大使館で記者会見し、北朝鮮に再び戻る意向を明らかにした。平島さんは「私は日本にだまされて行った。共和国(北朝鮮)には子供たちもいて、平壌に戻ることが幸せだと思った」と語った。中国に渡航した経緯や北朝鮮大使館に入った経緯などは明らかにしなかった。
 平島さんは1959年12月の帰国事業で在日朝鮮人の夫と北朝鮮に渡り、02年12月に北朝鮮北部の両江道から中国に脱出した後、03年1月、日本に帰国した。平島さんは会見で「日本では会いたかった妹にも古い友達にも会った。しかし、日ごとに子供たちへの思いが募った」と北朝鮮に戻る理由を述べた。

「北へ帰る決意した」と日本人妻=脱北者への宣伝狙いか (4/18、時事通信)

 【北京18日時事】北朝鮮を脱出後、中国経由で2003年1月、44年ぶりに帰国した日本人妻、平島筆子さん(66)が18日、北京の北朝鮮大使館で記者会見し、「北朝鮮に帰ることを決意した」と語った。「わたしは日本に誘拐された。日本に滞在中、共和国(北朝鮮)を忘れたことはなかった」とも述べた。
 一度脱北し、再び北朝鮮へ戻るケースは極めて異例。脱北者が相次ぐ中、第3国へ行ってもより良い環境がないことを、外国人記者を通じて宣伝する狙いが北朝鮮にあるのは確実だ。

 平島さんが帰国してから2年3カ月、Nステに出演して窮状を訴え日本政府に申し立てを行なってから1年9カ月が経つ。その結果がこれか。日本政府はまともにフォローしてこなかったということだな。支援者ヅラしてマスコミに露出していた平沢議員も売名に利用しただけか(平沢議員に関しては“想定の範囲内”だが)。

 命がけで脱出したのに。情けない成り行きである。

 「日本に誘拐された(だまされた)」というのはむろん家族を守るために言わされている言葉だが、北朝鮮もえぐい演出をするなあ。


 2003-07-24  脱北日本人妻:実名で訴え

 21日のニュースステーションに脱北日本人妻の平島筆子さんが「緊急」生出演した。

 北朝鮮での(夫が連行され、僻地に追いやられてからの)窮乏生活を問われても「……苦労しました」と言って絶句してしまうなど、久米宏とのやりとりではあまり目新しい話は無かった。要点をメモしておく。

  • TV出演の動機:妹が北朝鮮に残っている子供に手紙を出しても返事が来ない。心配で夜も眠れない。マスコミに実名と顔を公開して窮状を訴える決断をした。
  • 安否確認などの対応を求め、明日日本政府に申し立てをする。

  • (新小岩にいた頃の)友人とはまだ誰とも会っていない。

  • 脱北は自分一人で決め、子供たちにも知らせていない。今自分が日本にいるということも知らない。
  • 北朝鮮当局は自分の子供をもう特定しているはず。
    久米宏が視聴者に向けて「平島さんは今は話せることと話せないことがある、ということをご理解いただきたい」とお断わり。
  • [北朝鮮当局に対して]:子供は脱北とは無関係。従来通り北朝鮮で無事に生活できるようお願いしたい。

  • 北朝鮮に渡る前、朝鮮総連の新小岩支部で「学習」し、「3年に1度は里帰りできる」と説明された。しかしこれは反故にされた。
  • [視聴者に向けて]:北朝鮮にいる日本人妻たちは望郷の念が強い。日本から手紙が来ると他の日本人妻たちも自分のことのように喜ぶ。親族は手紙を送ってあげて欲しい。


 2月19日放送の特集「脱北日本人妻帰国までの真実」を締め括る久米宏の言葉は

 「その脱北した日本人妻は東京都内で新たな生活をスタートさせています。メディアの取材にはまだ応じることはできないということなんですが、韓国人男性の逮捕については『こんなことになってしまって大変申し訳ない。心配している』と話していたということです」

 というものだった。しかしこの日は久米は“誘拐”には言及せず、コメンテーターの清水氏が話を引き出した。淡白な質疑だが、出演の眼目から逸れてしまうのでこの程度でもやむなしか。

清水  平島さんが脱北して中国の国境地帯に匿われたことについて、 日本では身代金目的の誘拐だという報道がありました。それから中国の公安当局も平島さんと一緒にいた人たちを誘拐犯として捕まえましたね。平島さんは無理矢理連れて来られたり、部屋に閉じ込められたり、ひどいことをされたりしたんですか?
平島 そんなことはありません。皆さんよくしてくれました。北にいる時、私、頭も真っ白だったんです。中国に来てから皆さん、美容院にも連れて行ってくれて、髪も染めてくださったし、みんなよくしてくれました
清水 じゃ、誘拐だって言われた時は驚いたですか
平島 ええ、驚きました


 記事備忘
 ・ 「子につらい思いさせないで」 脱北の女性がTVで訴え (7/21、朝日)

 ・ 44年ぶり帰国の脱北日本人妻、実名公表して会見 (7/22、読売)
 ・ <脱北者>日本人妻が実名会見 「家族守って」 (7/22、毎日)
 ・ 脱北日本人妻、実名明かし子の安全確保訴え5/22特集:脱北者問題

 朝日はNステ出演について、読売・毎日・日経は翌22日の記者会見についての記事。朝日の記事のみ、平島さんが“誘拐”をきっぱり否定したことを伝えている。22日の記者会見では誰もこの質問をぶつけなかったのか?

 日経は日付が5月になっている。(^^;)

 会見には平沢勝榮が同席か。平島さんを支援しようという姿勢は立派だが、外務省の欺瞞情報に踊らされて金目当てのブローカーが云々とTVで語ってしまった自身の失策についても、いずれはケジメをつけてもらいたいものである。




 2003-03-07  韓国人男性が抗議

 脱北日本人妻の件で日本政府・外務省に“誘拐犯”の汚名を着せられた韓国人男性2人が、本日ソウルの日本大使館を訪れて抗議。Nステはスポーツコーナーの後の遅い時間帯にこれを報じた。Nステによると大使館側は抗議文の受け取りを拒否、2人は法的手段も検討しているとのこと。

 ・ 政府の補償と謝罪要求=日本人妻の脱北関与者が誘拐否定 (3/7、時事通信)




 2003-02-25  Nステの検証特集(2/19)

 先月8日にNステが中国に潜伏中の脱北日本人妻のインタビューVを放送すると、北朝鮮難民救援基金の加藤博氏は週刊新潮(1/16号)の記事とともにこれを「営利誘拐の尻馬に乗る醜態」と痛烈に批判した(*1)。以降のメディアの動きを李英和氏(RENK代表)は「外務省批判派 vs 営利誘拐事件派」のメディアウォーズと評したが(*2)、当事者であるNステは先月13日にインタビュー第二弾を放送した後は他人のふりを決め込み“ウォーズ”には参戦していない。参戦どころかむしろ逆に距離を置き、日本人妻が中国公安当局に拘束(保護?)された時も無事帰国を果たした時も通り一遍の報道で済ませ、フォローもコメントも無し。“誘拐犯”とされた韓国人男性2人が今月10日に釈放(国外退去処分)されたことも、19日まで報じてさえいない。

 韓国人男性がすでに釈放されていることから見て、“誘拐”が日本外務省によるでっち上げだったことはほぼ確定だろう。“誘拐”が虚構である以上、Nステ(や週刊新潮)に投げかけられた「営利誘拐の尻馬に乗る醜態」との非難は的外れなものだったということになる。

 結果的にはNステの報道に問題はなかったということだが、自身の報道の正当性を証明(検証)する努力を完全に放棄していたのは情けない。Nステは日本人妻を支援するG・PRESSとコネクションがあり他メディアより情報収集面で有利だったのだから、事態が流動的であったとはいえ、いや、むしろ流動的だからこそ、早い段階で(遅くとも1月中には)続報でフォローするか、視聴者に対しなんらかの説明をすべきであった。


 今月19日に放送された「脱北日本人妻帰国までの真実」は、長過ぎた沈黙を埋め合わせるに足るものであったか?

 正直言って拍子抜け。予告では「経緯を検証する」と謳っていたが、釈放された韓国人男性のインタビューに既報の(Nステでは報じていなかった)「経緯」を組み合わせただけのVであった。「検証」というなら外務省や支援者(G・PRESS)へ取材をかけてこの男性の証言の裏付けをとるべきだろう。

 久米宏や特集Vのナレーションは「中国に対する日本政府の通報の中身」(誘拐事件として通報したのか否か)が焦点だと指摘していたが、もっと踏み込んで、なぜ外務省は“誘拐”をでっち上げたのか、その“誘拐”説を最初に唱えたのがなぜ脱北者救援NGOの加藤氏だったのか(その根拠はなんだったのか)、という問いを立てて欲しかった。

 Nステはニュースショーなんだから、外務省に質問状を突きつけるとか、「外務省は、身代金数千万円を要求した人物と拘束された2人が同一であるとの確証を中国政府を通じて入手した」なんてガセ記事(*3)を書いた朝日新聞の記者にこの欺瞞情報の出所を証言させるとか、先月末には金銭要求され誘拐と判断して中国側に通報したと説明していた(*4)のに、「中国政府に誘拐事件だとして身柄拘束を要請した事実はない」なんて寝言で誤魔化そうとしている阿南“不審者とみなして追い出せ”大使を直撃して問い詰めるとか、ガツン! と強気に出て面白い見世物を見せて欲しいものである。


 以上、いろいろと不満を書いたが、特集Vにまったく新事実が無かったわけではない。釈放された韓国人男性のインタビューにはTBSのニュース(内のインタビュー)(*5)には無かった証言も含まれていた。

  • 「拘束されていた場所には脱北を請け負って逮捕された韓国人がたくさんいた。中には拘束されて1〜2年の人もいた」
  • 「(中国公安当局の取り調べは)私たちが人身売買をしているのではないかということだった」
  • 「(釈放される時に)『これを持って行け』と(判決文を渡された)。そうすれば『あなた方も日本政府と正々堂々と戦える』、そう言われて持ち帰った」
     (罪名は国境管理妨害罪で、判決文には「誘拐」の文字は無い。)

 最後に挙げた証言が興味深い。TBSのニュースで紹介されていた「中国公安の人たちから『バカだなぁ、日本政府にだまされたのだよ』と言われた」という証言以上に刺激的である。わざわざこういう助言とともに判決文(=物的証拠)を与えたということは、中国側は日本外務省のやり方に対して相当に不快感をもったのだろうなあ。


 余談。Nステ(テレ朝)がG・PRESSの名を表に出さないのは、なにかお家の事情でもあるのかしらん。変なことにこだわるようだが、不可解。

(*1) 脱北した日本人妻は「誘拐団」の人質である (1/11、北朝鮮難民救援基金

(*2) 緊急吉報!! 脱北日本人妻「誘拐事件」の奇怪と教訓(2/2、RENK

(*3) 金要求ブローカーは拘束の2人と同一 脱北日本人妻保護 (1/18、朝日)

 「日本外務省は、北京の日本大使館に女性の身柄引き渡しと引き換えに現金数千万円を要求してきた人物と、拘束された2人について、現金の振込先などから同一であるとの確証を中国政府を通じて入手した」との記述あり。

(*4) 凍る川、素足で脱出――日本人妻、44年ぶりに帰国 (1/29、日経)

 「外務省は『金銭を支払わなければ北朝鮮に送還する』と脅迫され、誘拐と判断して中国側に保護を求めた経緯を説明」との記述あり。

(*5) 拘束されていた男性が怒り語る (2/14、TBS News-i

 記事は22日未明に削除された。参照用に後半部分を引用しておく。

 ≪男性は日本人妻の帰国をめぐって、北京の日本大使館員とたびたび連絡を取り、交渉をしていたが、日本側が説明するような金銭の要求をしておらず、誘拐容疑で拘束されたのは、日本側の中国当局への通報が誤った内容だったからだと非難しています。

 「『経費を出してくれ』と言ったら、日本大使館員は『当然出す』と言った。具体的な金額など要求してません」(拘束されていた男性)

 男性によりますと、今月9日に脱北者を手助けしたとして、10万元の罰金刑を受けましたが、誘拐の罪には問われずに、釈放されたといいます。

 「中国公安の人たちから『バカだなぁ、日本政府にだまされたのだよ』と言われた」(拘束されていた男性)

 男性は13日、北京の日本大使館員に電話をして説明を求めましたが、「あしらわれた」と言います。

 「(日本大使館員は)『日本人妻が無事帰国できたのだから、この問題は終わりだ』と言った。協力した韓国人が監獄に入れられても、責任はないということでしょう?」(拘束されていた男性)

 男性は今後、日本側に謝罪を求めて抗議するとしています。

 この事件について、北京駐在の阿南大使は「日本側から誘拐事件として捜査を要請した事実はない」とコメントしています。(14日 17:49)≫



 2003-02-21  TBS News(2/14)

 Nステの感想を書いていて、参照リンクを1つ書き漏らしていたのに気づいた。

 日本人妻“誘拐”事件で“誘拐犯”とされた韓国人男性2人が釈放された件、14日20時34分の毎日の記事では「中国当局に1月、誘拐の疑いで逮捕された韓国籍男性2人が、韓国に送還されたことが分かった。ソウルの関係筋が14日、明らかにした」とあるが、TBSではこの男性のインタビューを同日17時台に放送している。

 ・ 拘束されていた男性が怒り語る (2/14、TBS News-i)[ニュース動画あり]

 ↑本日午前7時 午後11時半の時点でまだ残っているが、保存期間は1週間のようなのでそろそろ消えるかも。 (23日追記:22日未明に消滅した。)



 2003-02-19  今夜のNステで検証特集

2月19日(水)  脱北日本人妻帰国までの真実
44年ぶりに祖国の土を踏んだ脱北日本人妻。中国の公安当局が彼女を保護する際、潜伏先で行動を共にしていた韓国人脱北者が誘拐犯として逮捕された。日本政府が『多額の身代金を要求されている』と通報した事による逮捕劇だった。ところが、中国当局は取り調べの結果、彼を誘拐の罪に問うことなく釈放する。彼は日本政府に名誉の回復を求める構えだ。しかし、外務省はいまだに詳細を明らかにしていない。脱北日本人妻帰国までの経緯を検証する」

 出典:特集放送予定NステWEB


 備忘も兼ねて引用しておく。今夜のNステは見逃せない。



 2003-02-17  インタビューV補足

 中国潜伏中に撮影された脱北日本人妻のインタビューVは、テレ朝のクルーが撮影した版と他局で流れた「G・PRESS提供」版の2種類があるのかも。

 映像はテレ朝の独占(提供元表示無し)だったのに1週間ほどして「G・PRESS提供」スーパー付きで他局でも放送されるようになった経緯(初めから時限契約だったのか、北朝鮮難民救援基金の加藤博氏の批判を受け、テレ朝とG・PRESSが協議して他局に提供することにしたのか)が明らかになってから補足を追記するつもりだったのだが、どうもうやむやになりそうな気配。

 ということで、当ページ内の該当箇所(記述が紛らわしいところ)に補足を追記&リライトしておく。(1/20の項1/31の項末

 (この項、18日アップロード)



 2003-02-16  “誘拐犯”が国外退去

 脱北日本人妻“誘拐”事件で中国公安当局に拘束されていた韓国籍男性2人が韓国に送還されたのだそうな。産経の先月30日朝刊「中国当局は脱北韓国人二人を脱北仲介への見せしめとして厳罰に処する見通し」は大ハズレ。冤罪の疑いが濃いのでまずはめでたし、と言うべきか。ただし“誘拐”が冤罪だとすると、この“事件”は日本外務省が脱北支援者を誘拐犯に仕立て上げた破廉恥な欺瞞劇だったということであり、2人の男性が釈放されただけでは喜べない話なのだが。“冤罪”だとしても外務省(日本政府)はしらばっくれて謝罪も補償もしないんだろうな。

 李英和氏の論考によるとこのニュースは14日のNews23で報じられたとのことだが、同日のNステでは扱わなかった。放送開始時刻の関係で間に合わなかったのか、徹底して「他人のふり」で行く気なのか。さて?

 ・ <脱北日本人妻>誘拐容疑で逮捕の2人を韓国に送還 中国政府 (2/14、毎日)
 ・ 拘束の韓国籍男性を退去処分=中国 (2/15、時事通信)

  「誘拐犯」釈放にあたり、外務省と加藤氏への提案と要望 (2/15、RENK


 ・ 週刊新潮 2/13号の加藤博氏批判に対する基金の見解 (2/10、北朝鮮難民救援基金

 (この項、17日アップロード)



 2003-02-05  “誘拐”事件に関するRENKの考察と告知

 日本人妻“誘拐”事件についてRENKの李英和氏が大変興味深い、かつ重大な告知をしている(ネタ元は マダムゆあんのおばか日記の2月4日の日記)。

  緊急吉報!! 脱北日本人妻「誘拐事件」の奇怪と教訓 (2/2、RENK


 論考の冒頭で「外務省批判派=テレ朝(Nステ)・週刊新潮連合軍」対「営利誘拐事件派=外務省・週刊文春+その他メディア」のメディアウォーズ云々の記述があるが、ピンとこない。Nステは加藤博氏に名指しで批判された(1月11日)後もこれを黙殺して「脱北日本人妻の訴え」第二弾を放送したが(1月13日)、その後は他人のふりをしていたぞ。テレ朝は、Nステ以外の番組では外務省批判の姿勢を堅持していたのかね?

 昨年5月、瀋陽・日本総領事館駆け込み事件に関連して「日本政府は元在日朝鮮人を『準邦人』として特別扱いする指針を内々に決めている」との報道が一部であった(昨年5月22日の項参照)。続報がないので不審に思いつつそれきり忘れていたのだが、李英和氏の論考はこの報道に言及し、加藤博氏の証言(@週刊文春)と併せ、脱北者救援のテコとして巧みに活用している。

 以下脱線。
 李英和氏の論考を読むと、加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)のポジションは如何に、なんてことを考えさせられる。1月28日の声明も不可解なものだったし。部外者には窺い知れぬ諸般の事情やしがらみがあるんだろうが。


 ・ 脱北者の一律支援に慎重=福田官房長官 (2/5、時事通信)

 福田官房長官が元在日朝鮮人への公的支援について「慎重な姿勢を示した」そうな。


 2003-02-01  訂正

 マダムゆあんのおばか日記の1月30日の日記に、脱北日本人妻“誘拐”事件(の裏事情)に関する記述がある。

 ゆあん氏の1月20日の日記には「朝日新聞は最初は中国人2名のブローカーと発表」とある。記事を漁っていて、自分の早合点に気づいた。1月18日の項で朝日の記事2本にリンクし「記事は同文」と書いていたが、同文ではなかった。また恥ずかしい凡ミスをしてしまった。過去ログに訂正追記を入れておく。


 (記事備忘)
 ・ 中国に「拘束時の自動通報義務化」提案へ (2/1、読売)
 ・ <脱北日本人妻>支援は現行法で対応 安倍官房副長官 (2/1、毎日)

 ・ 脱北日本人妻の家族、日中両国に感謝 報道各社に文書 (2/1、朝日)
 ・ <脱北日本人妻>妹夫婦が政府に社会復帰への支援を要請 (2/1、毎日)

 毎日の記事には「(略)日本人妻(64)の東京都内に住む妹夫婦が1日、支援のジャーナリスト団体『G・PRESS』を通じて、報道機関に談話を寄せた」とあるが、朝日は「支援者を通じて」という曖昧な表現で、G・PRESSの名を出していない。



 2003-01-31  帰国(2) (02-17追記)

 「日本に生きて帰りたい。北朝鮮から脱出し、中国で身柄を保護されていた日本人妻が、44年ぶりに祖国日本の地に降り立ちました」(29日のJチャンネルの前フリ原稿)

 「生きて日本に帰りたい。北朝鮮から脱出して中国で身柄を拘束されていた日本人妻が、今日44年ぶりに、祖国日本の土を踏みました」(29日のNステの前フリ原稿)

 Nステは27、28日には「保護」だったのに29日は「拘束」。同じテレ朝のJチャンネルは28日は「拘束」で29日は「保護」。なんなのかね、これは。

 27日のNステや29日のJチャンネルは「保護されている」「保護されていた」という形で「保護」を使っている。だから、誘拐犯から救出して「保護した」、しかし不法入国なので身柄を「拘束している」、という“文脈による使い分け”ではない。

 この混乱は何か深い意味・事情があるわけではなく、ただ単にテレ朝の用語法がいい加減なだけなのかも。一貫して「保護」使用の朝日新聞は、何かそれなりのワケがありそうだが。

 訂正。28日の項で「Nステのニュース原稿はあいかわらず『中国に保護されている』」だと書いたが、28日の放送での用法は正確には「今月15日、中国の公安当局に保護されました」だった(録画で確認)。これは“誘拐犯から救出した”という意味での「保護」だと解釈できないこともない。


*  *  *

 ・ <日本人妻>スカーフで覆い、表情うかがえず 外務省職員ガード (1/29、毎日)
 ・ 脱北日本人妻 「ありがとう」繰り返し (1/30、産経)

 帰国した際、外務省は“人の壁”で女性の姿をマスコミから隠した。これについて29日のニュースプラス1@日テレに生出演した重村智計教授は、

 「一般の方はこのガードの仕方を見て異常だと感じるだろう。韓国なら脱北者は記者会見をする。政府は本人の意向だと言っているが、本人は(中国潜伏中に)週刊誌やメディアの取材に応じている(顔や実名を明かしている)。(北朝鮮に残る)家族への配慮かもしれないが、あまりこれ(マスコミ遮断)をやると、日本政府が本人に何か言われたくないことがあるんじゃないかとか、(本人の口から)政府批判が出るんじゃないかとか、勘ぐられる」(大意)とコメントしている。

 29日午後以降の報道を見ていると、今後日本政府(&外務省)にとって不都合な「女性本人の言葉」が報じられることはまずなさそうに思えるが。


*  *  *

 ・ 中国への通告で「帰国遅れた」=政府の対応批判-脱北日本人妻支援者 (1/29、時事通信)
 ・ <脱北日本人妻>「祖国で死ぬ」と生き延びる (1/29、毎日)

 毎日の記事には加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)とG・PRESSの談話あり。

 「今回日本人妻を支援してきたジャーナリスト団体『G・PRESS』は『彼女は15日に瀋陽の日本総領事館に入り、帰国することになっていた。この間の経緯について、後日詳しく説明したい』と話している」

<脱北日本人妻>「祖国で死ぬ」と生き延びる (1/29、毎日)

 こういうのは「後日」じゃダメだろ。即座に経緯説明しないと命取り。世間一般の印象・評価は「G・PRESSは誘拐犯に利用されていた」ということで固まってしまうと思うぞ。

 ・ 外務省、脱北日本人帰国の経緯公表 (1/29、朝日)

 「(略)脱北に絡んだとみられる人物から外務省に法外な金銭の要求があり、女性が犯罪に巻き込まれたと判断したことなど経緯も明らかにした」

 「高島肇久外務報道官は同日夕の記者会見で、今回の経緯を公表した理由について『他の人物が身代金とも思われる金を要求し、脅しとも思える発言を繰り返す極めて特異な例だった。事実と異なる一部報道もあり、女性が無事日本に帰ってきたことを国民に知っていただく意味も込めて、例外としてご報告した』と説明した」

外務省、脱北日本人帰国の経緯公表 (1/29、朝日) [太字は引用者による]

 外務省に先越されているし。
 「法外な金銭の要求」とか、「邦人が巻き込まれた犯罪」という日本政府(外務省)の経緯説明に何か嘘や誤魔化しがあるとしても、この件はこれで落着しそうだな。中国に拘束されている韓国籍男性2人の無実を証明する決定的な証拠でも出てくれば別だが。仮に出てきても……「事実と異なる一部報道」をしたとされたメディアは失地回復のため頑張るだろうが、他のメディアには無視されそうな予感。


*  *  *

 産経の30日の記事(政府に嘆願書/マスコミ露出…仲介者駆け引き)には、

 「交渉が行き詰まる中、支援グループは、週刊誌と民放テレビに日本人妻をインタビューさせ、日本政府に圧力をかける戦術に出た」

 という記述がある。この「支援グループ」はG・PRESSのことだろう。中国潜伏中の脱北日本人妻をインタビューしたVは、日テレやCX、TBSでは画面に(表記はまちまちだが)「G・PRESS提供」のスーパーが入っていたので、テレ朝が流しているVもG・PRESSが撮影したものだと錯覚していた。「民放テレビに〜インタビューさせ」ということは、テレ朝で流しているVはテレ朝関係者が撮ったものだったんだな。そういえば件のVは、テレ朝では「提供元」が出ない。

 産経のこの記事には「中国当局は脱北韓国人二人を脱北仲介への見せしめとして厳罰に処する見通しだ」との記述もある。

 Nステは今日(31日)もフォロー無し。他人のフリしてやり過ごす気らしい。


追記 (02-17)
 インタビューVの撮影者について記述を補足。


 2003-01-29  帰国

 脱北日本人妻が帰国。これを伝える日テレとテレ朝の夕方のニュースをザッピング。

 「外務省は中国側に協力を依頼、中国公安当局が今月15日朝、この女性を保護、今日の帰国となった」(ナレーション)(Jチャンネル@テレ朝)

 「その後、中国当局に身柄を保護されるなど曲折を経て、昨日身柄が日本に引き渡された」(ナレーション)(ニュースプラス1@日テレ)

 Jチャンネルは昨日は「拘束」と言っていたのに今日は「保護」。軌道修正か、そもそも用語法に気を使っていないのか? 言葉の使い方もひっかかるが、それ以上に、どちらの局も、綺麗に“誘拐事件”を無かったことにしているのがスゴイ。

 TBSとCXは、私が見た時間帯(17:55〜18:20)にはこの件を取り上げなかった。



 2003-01-28  帰国近し /脱北支援NGOに外務省の金? (01-31追記)

 「脱北日本人妻は一両日中にも帰国か」、「外務省は藪中局長を北京に派遣」というニュースで、Jチャンネルは「中国に拘束されている日本人妻」と表現(小宮キャスターが読み上げた原稿も記者レポートでも)。風向きが変わったのかと思ったが、Nステのニュース原稿はあいかわらず「中国に保護されている」「保護」と表現(*)。Jチャンネルは以前から「拘束」派だったのかしらん? 同じテレ朝なのに妙なことになっている。

 Nステは上のニュースに続いて「極秘『入国』後の脱北者」小特集を放送した。昨日、脱北者数十人が秘密裏に帰国していたことを外務省が初めて公式に認めておりタイムリーではある。しかし、先にやるべきことがあるのではないか。Nステ自身が関与した脱北日本人妻の件で逮捕者が出ているのに、“誘拐犯”とされた2人の妻たちの会見のニュース(23日)はコメント無し、その後も一切フォロー無しとは釈然としない。

 Jチャンネルではゲスト(コメンテーター?)の大谷昭宏氏が、

 「ようやく帰国の見通しが立ったようなんですが、(女性を)支援して誘拐容疑で中国に逮捕されてる韓国人がお二人いる。奥さんたちが、日本政府は(中国側に)何を通告したのか、はっきりさせてくれと(言っている)。(誘拐犯ではなく)もし本当の支援者だったら、(日本外務省と中国公安当局は)とんでもないことをしていることになる。(北京に派遣される藪中局長には)そこらへんの真相も併せて解明するべく行っていただきたい」(大意)とコメントしている。

 これは本来、Nステでこそ語られるべき言葉だ。なぜNステは口を噤んでいるのか。

 ・ 北朝鮮住民亡命問題 (Yahoo! ニュース)

 ・ 脱北日本人妻ら数十人保護=生活支援、真剣に検討-外務省 (1/27、時事通信)
 ・ 日本人妻、週内帰国で調整 (1/27、読売)
 ・ 脱北日本人妻、週内にも日本に引き渡しへ (1/28、朝日)
 ・ 藪中局長の中国派遣発表=外務省 (1/28、時事通信)


(*) 訂正追記 (01-31)
 28日の用法は「保護されている」ではなく「保護されました」だった。これについては31日の項参照。


*  *  *

 昨日国会で外務省の藪中局長が脱北支援者(NGO)に資金提供することもある、と答弁。これに対し、北朝鮮難民救援基金が猛反発している。「当基金は、日本外務省および他のいかなる日本政府機関から1円の援助もうけたことはないし、一切の金銭的利益を得たこともない」のだそうな。これもまた、奇妙な動きだな。

 田中真紀子外相の更迭と鈴木宗男の失墜は、アフガン復興会議から一部NGOが排除されたことが発端であった。当時(昨年1月)はマスコミがよくNGOに関する解説をしていたが、なかには「NGO=善意のボランティア団体」ではない、なんて指摘もあったっけ。そういえば、件のNGO(やその代表者)に対する悪評もちらほら目にしたが、あれは何者かが流した対抗情報だったんだろうなあ……なんてことを思い出した。

 ・ 脱北支援者に資金提供も 衆院予算委で外務省局長 (1/27、朝日)
 ・ 外務省アジア大洋州局長の発言に対する見解 (1/28、北朝鮮難民救援基金

 (この項、29日アップロード)



 2003-01-23  誘拐か濡れ衣か(2) (01-28追記)

 本日のNステも北朝鮮の反米TVドラマ「ハンナのこだま」を取り上げた。やっぱりこのドラマ、大人気なんだな……日本のマスコミに。


*  *  *

 21日も22日もNステは脱北日本人妻の件を扱わずじまい。21日の脱北者問題小特集の前フリで久米宏がほんの一言触れたのみ。この小特集は大半が放送済みVの使い回しであった(姜哲煥氏インタビューや韓国MBC製ドキュメント等々)。

 本日、“誘拐犯”とされた韓国籍男性2人の妻が会見を行ない、「日本政府が中国側に誘拐事件として通報したため夫たちは逮捕された。夫たちがいつ、いくら要求したというのか、日本政府はすぐに明らかにしてほしい」と訴えた。

 他局のニュース番組がその後の動きを報じるなか20、21、22日と沈黙を守っていたNステだが、この新たな動きを受けてようやくこの件を取り上げた。久米宏が読み上げた前フリ原稿は、

 「ニュースステーションでお伝えしている脱北日本人妻に関するニュースです。中国当局が彼女を保護する際、韓国人脱北者2人が誘拐犯として逮捕されました。この韓国人脱北者の妻たちが、今日ソウルで記者会見を開きました」

 と、「保護」という表現を使用。ちなみに、毎日新聞は一貫して「身柄を確保」、「拘束」と表現している。

 Nステは日本人妻と男性2人の関係、この2人と妻2人が元脱北者であることなどかなり詳細に報じたが、支援者グループ(G・PRESS)には言及せず。8日のNステの報道が“逮捕劇”の一要因かもしれないのに今日の放送内容には当事者意識が感じられなかった。久米宏やコメンテーター(森永氏)のコメントは一切無し。

 ・ <脱北者>日本人妻脱出手引き、誘拐ではない 逮捕男性の妻反論 (1/23、毎日)


*  *  *

 この事件についてはマダムゆあんのおばか日記の13日と20日に興味深い記述(推測)が書かれている。

 大雑把に要約すると、――脱北日本人妻のSOSを日本大使館は相手にせず、本省にも報告していなかった。ところが取材記者経由でコトが露見したため、責任逃れのために、ブローカーからの金銭請求(必要経費+謝礼金程度?)を身代金を要求されたかのように歪曲して情報(デマ)を流した。平沢勝榮議員のTV発言はこの外務省のデマを真に受けたもの―― と推測している。いかにもありそうな話だな、当否は判断できないけど。

 上はあくまで不正確な要約。詳しくは元記事を参照されたし。

 ・ マダムゆあんのおばか日記


追記(01-28)
 上の要約の元記事(13日の日記)は、現在は削除されている。各方面から問い合わせが来て鬱陶しいとのこと(26日の日記参照)。


 備忘用に関連ニュースをメモしておく。

 ・ 日本人配偶者:外務省、表面化を懸念 「水面下で保護」は限界 (1/18、毎日)

 加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)の「報道されたことが身柄拘束のきっかけになったのかもしれない。しかし、脱北者は不法入国者として送り返され、国家反逆罪などの厳罰に問われる危険性をメディアが理解していたのかどうかは疑問。(以下略)」との談話あり。記事も詳細。

 ・ 脱北日本人妻:国連に「難民保護」要請 政府 (1/21、毎日)

 国連に要請ねえ。「邦人保護」は外務省の仕事じゃなかったっけ?

 ・ 拘束の2人は北朝鮮脱出者か 中国の日本人女性保護 (1/21、朝日)
 ・ 中国で拘束の脱北日本人妻、東京・葛飾区が生活支援を検討 (1/21、読売)

 「営利目的ブローカー」についての記述と加藤氏の談話あり。

 ・ <日本人妻>北朝鮮に送還 99年中国で帰国準備中 NGO調査 (1/21、毎日)
 ・ <北朝鮮日本人妻>「立場の確認が必要」中国外務省 (1/21、毎日)

 − 拘束者を送還せぬよう中国に訴え 日米韓独仏NGO会見 (1/21、朝日)
 − <脱北者拘束>強制送還中止と救出求めNGOが訴え (1/21、毎日)

 上2本は(関連はあるものの)別件。北朝鮮難民救援基金も参加しているのでついでに。

 ・ 中国・日本人女性拘束問題 拘束の日本人妻、帰国へ--中国が意向 (1/22、毎日)速報

 「脱北者問題を巡って、中国政府は北朝鮮関係から亡命希望国へ送り出すことには慎重だが、北朝鮮への送還には国際社会から人権上の批判も出ているため、対応に苦慮している。今回は誘拐被害者という特殊なケースとして処理することにしたと見られる」

 脱北日本人妻に関しては結果オーライとなりそうだが、「誘拐事件」として処理するというのはそもそも誰にとって都合のいい方便なのか? 「誘拐犯人」とされている韓国人男性2人はどうなるのか?

 ・ 拘束の日本人妻、帰国へ渡航書発給 政府方針 (1/23、毎日)

 「ただ中国公安当局は、違法入国容疑だけでなく、誘拐の被害者としても女性から事情を聴いているとみられ、調査がいつ終了するのかは不明だ」との記述あり。

 ・ <脱北者>日本人妻脱出手引き、誘拐ではない 逮捕男性の妻反論 (1/23、毎日)



 2003-01-20  日本人妻「保護」報道@TV (02-17追記)

 脱北日本人妻が中国公安当局に身柄拘束(保護?)された件、News23は「日本政府は保護されている女性の早期帰国を求め中国側と水面下で交渉中」と報じ、渦中の女性のインタビューVを流した(Nステが8日と13日に放送したのと同じもの(*))。画面には「G・PRESS提供」のスーパー入り。中国はこの件を誘拐事件だと主張していること、女性を保護していると称する人物から日本政府に金銭要求があったこと、ブローカーの介在が指摘されていること、等にはふれなかった。

 CXニュースJAPANも同じV(*)を流し(「G−PRESS提供」のスーパー入り)、金銭要求についてもふれ、ブローカーに関する韓国NGOの証言を挿入し、「(女性を支援している)ジャーナリスト団体は、日本政府に要求したのは交通費だと説明している」と報じた。(「ジャーナリスト団体」=Vを提供したG・PRESS、という説明は無し。)

 当事者でもあるNステは本日はこの件に一切言及せず。……だいじょぶかNステ?

 ・ 脱北日本人妻、安全確保が最優先=外務次官 (1/20、時事通信)


(*) 追記 (02-17)
 記述が紛らわしいので補足しておく。インタビュー自体は同じものだが、映像(V)は別物(テレ朝のクルーとG・PRESSがそれぞれ同時に撮影したもの)かもしれない。


 2003-01-19  誘拐か濡れ衣か (01-19午後追記)

 脱北日本人妻の件、本日未明に毎日が詳細な記事を配信した。

 ・ <日本人配偶者問題>背後に脱北ビジネス? 女性拘束に多くの謎 (1/19、毎日)

 ・ 金要求ブローカーは拘束の2人と同一 脱北日本人妻保護 (1/18、朝日)
  速報(同文)(1/18 16:22)


追記 (01-19午後)
 18日の朝日の記事を見落としていた。上にリンクを追加しておく。

 朝日の記事には「日本外務省は、北京の日本大使館に女性の身柄引き渡しと引き換えに現金数千万円を要求してきた人物と、拘束された2人について、現金の振込先などから同一であるとの確証を中国政府を通じて入手した」とある。

 一方、毎日の記事は「拘束された2人について、中国側は韓国のパスポートを持っており、誘拐犯として取り押さえた、としている。女性の身代金として数千万円の要求が日本の外務省にあったととらえ誘拐犯としているが、2人が金を要求していた根拠は示されておらず、性別や年齢、拘束場所も明らかにされていない」としている。

 時系列が逆ならどうということもないのだが。朝日が「日本外務省は〜確証を〜入手した」としているのに、8時間後(1/19 00:21)に配信の毎日が「2人が金を要求していた根拠は示されておらず」とこれを無視(否定)し、李英和氏(RENK)の外務省批判コメント(身柄拘束された2人は外務省&中国公安当局に濡れ衣を着せられたと推測)を載せるというのは奇異。落とし所を巡って暗闘が進行中なのかね。

 さて、明日のNステはどう報じるのやら。



 2003-01-18  脱北日本人妻身柄拘束 (02-01追記)

 中国に潜伏中の脱北日本人妻が、昨日中国公安当局に身柄拘束された。メディアによって報じ方にバラつきがあるが、北朝鮮への強制送還はなく日本に帰国できる見込みのようで、加藤博氏の危惧は半分当たり半分外れた恰好。朝日が「保護」という表現を使っているのは、これは誘拐事件であるという中国側の主張に沿うものか。

 昨夜は裏の「シックス・センス」を観ていたのでNステがどう報じたのかは未確認。

 ・ 脱北日本人妻、中国が身柄拘束か (1/17、読売)
 ・ 脱北日本人妻 公式ルート 初の帰国 中国当局が引き渡しへ (1/18、産経)
 ・ 「脱北」の日本人妻、中国当局が保護 日中外交筋確認 (1/18、朝日)
  1/18未明の朝日の速報記事は上と同文だが「嘆願書」の写真付き)


訂正追記 (02-01)
 朝日の2つの記事は同文と書いていたが、これは私の早とちりであった。朝日の社会面の記事は速報を元にしているが、かなり加筆されている。追加されている情報は、

(1) 中国公安当局は女性と共にいた2人の「韓国籍とみられる人物」を逮捕した、(2) 日本政府に金銭要求していた「中国人を名乗る人物」とこの2人の関係は不明、(3) 中国外務省が「通常の不法入国事件と異なり、重大な誘拐事件だ。容疑者は第三国の政府をゆすりの対象としており、中国の法律に違反し、治安を乱している。法律に従い、厳しく対処する」との姿勢を示した、等。



 2003-01-16  久米宏「金正日以外は全部」 /北朝鮮難民救援基金が実名削除

 昨日のNステは「できるだけ北朝鮮」でニュース5本を流した後、中国に潜伏する脱北者の悲惨な状況(人身売買)を伝えるVを流した。久米宏が「韓国MBCの取材です」と前フリし画面には「韓国・MBCから」と表示されていたが、作風が13日に放送した「覚悟の駆け込み」と似通っていた。13日のあのVも韓国MBC製だったのかも(その旨断わりがあったのかもしれないが、私は気がつかなかった)。

 V明けで萩谷コメンテーターが「拉致問題では被害者は数十人、あるいは3桁とも言われているが、脱北者の問題に目を向ければ救うべき人たちの数は5桁、あるいはもっといるかもしれない」(大意)と語り、久米宏が「金正日以外は、(北朝鮮国民2300万人を)全部救わなければならないのかもしれません」と締め括った。

 小泉訪朝で金正日が拉致を認め被害者5人が“一時帰国”して以来、急速に反北朝鮮ムードが高まり、「日朝平壌宣言」から4カ月で久米宏@Nステが金正日体制打倒の必要性をほのめかすところにまで来た。拉致議連や「救う会」はしてやったりだろうが、「家族会」の人たちはこの成り行きをよしとしているのだろうか。


*  *  *

 北朝鮮難民救援基金が記事(脱北した日本人妻は「誘拐団」の人質である)から女性の名前を削除した。11日と13日の項のリンクから名前を消しておく。「週刊新潮」ですでに実名が出ている以上、いまさら伏せても無意味だと思うが。(新潮社はWEBでも名前を出している。)



 2003-01-14  記事備忘(脱北日本人妻) (01-15午後追記)

 脱北日本人妻について大手紙が記事にした。これで日本に生還できる可能性が高まった、のだろうか。

 ・ 「助けてください」 脱北者の日本人女性、外相に嘆願書 (1/14、朝日:拉致問題
 ・ 脱北者び保護求め、川口外相に嘆願書 支援団体 (1/14、毎日:北朝鮮


追記 (01-15)
 脱北日本人妻の件、毎日も記事にしていた。リンク追加&文章修正。
 (記事タイトルが変だが、原文ママ)


(01-15 午後)
 毎日の速報が脱北日本人妻の件にブローカーが絡んでいる可能性を示唆する報道。加藤博氏の推測は当たっていたようで。

 「帰国事業で1959年に北朝鮮に渡り、昨年末に中国に脱出した日本人配偶者の女性(64)が、日本政府に救出を求めている問題で、中国人を名乗る人物が外務省に女性の身柄を引き渡す代わりに数千万円を要求していることが、関係者の話で分かった」

 出典: <脱北者>日本人配偶者の引き渡しに現金要求 中国人名乗る人物 (1/15 11時50分、毎日)

 ただ、記事には女性を支援している「フリージャーナリスト団体『G・PRESS』」が14日に川口外相あての女性の嘆願書を公開した際に「『一部識者の間から、テレビ番組やホームページなどで『ブローカーが介在した営利目的の誘拐事件である』などとして女性の実名、金額まで紹介された。事実をゆがめた紹介が、女性をさらに厳しい状況に追い込むことにもつながりかねない』としたうえで『人身売買のブローカーは一切介在していない』と表明している」ともあって、即断はできないのだが。

 なお、テレビ番組で云々は(加藤博氏ではなく)平沢勝榮議員を指すものと思われる。

 (文章ちょっと修正)



 2003-01-13  脱北日本人妻@Nステ(2)

 本日のNステは「脱北日本人妻の訴え」の第二弾を放送。加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)の批判は完全黙殺か。Vの前に久米宏が女性の安全のため顔と名前は伏せてお伝えします云々のお断りをしたが、「週刊新潮」ですでに名前が出ているので無意味な配慮だな。加藤氏の危惧するような事態(ブローカーによる女性の殺害、北朝鮮・中国当局による逮捕)に至った場合、テレ朝はどうするつもりなんだろ。あえて第二弾を放送したということは、加藤氏の推測や危惧は的外れなものだったのだろうか。

 ・ 脱北した日本人妻は「誘拐団」の人質である北朝鮮難民救援基金

↑ 11日にもリンクしたが、これは同文の別ファイル。


 今日は他にも「ヨーロッパから見た北朝鮮」、「脱北女性と少年 覚悟の駆け込み」という2つの小特集Vを放送したが、前者はイタリア人実業家と旧ソ連外交官のインタビューを蔵出し映像で水増ししたもの、後者は韓国製ドキュメント(亡命を支援するNGOが撮影した映像に韓国語のナレーション)に日本語ナレーションをかぶせただけのもの。

 「脱北日本人妻」を含め北朝鮮関連の3本は、ニュース番組の特集というよりワイドショーのレポートのようであった(過剰に情緒的な演出、素材の使い回しが目立つ、独自の検証が無い)。これは今日の放送に限らず、最近の北朝鮮特集@Nステの全般的傾向なのだが。



 2003-01-11  脱北日本人妻は誘拐団の人質?

 ・ 脱北した日本人妻は「誘拐団」の人質である北朝鮮難民救援基金

 8日のNステは「脱北した日本人妻が中国に潜伏して助けを待っている」というニュースを流し、その日本人妻のインタビューV(訴え)を放送したが、この件、北朝鮮難民救援基金(NGO)の加藤博氏によると“犯罪性をもった事件”の可能性があるらしい。上にリンクした記事には内容を一言で要約する「『週刊新潮』の取材方法、『ニュースステーション』の報道のあり方に疑問 営利誘拐の尻馬に乗る醜態」という副題がついている。

 加藤氏は昨年10月末に中国当局に拘束され、11月5日に国外退去となり帰国、11月7日にはNステに生出演して「拷問というほどではないが非人道的」な中国当局の取調べの実態や中国に潜伏する脱北者の状況について語っている。

 来週のNステがどうフォローするか注目。

 (蛇足ながら。加藤氏の記事の冒頭には「1月16日発売の『週刊新潮』」とあるが、これは「1月16日号」の誤記と思われる。)




 参照リンク

 ・ 朝日:北朝鮮拉致事件
 ・ 毎日:北朝鮮の動き
 ・ 北朝鮮日本人妻の帰国問題 (Yahoo! ニュース)
 ・ 北朝鮮住民亡命問題 (Yahoo! ニュース)
 脱北者問題 (Lycos ニュース)

 ・ 救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)
 ・ 北朝鮮難民救援基金

 ・ マダムゆあんのおばか日記人権と平和

 ゆあん氏の日記については1月23日以降の各項で言及&リンク。


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