本日のNステも北朝鮮の反米TVドラマ「ハンナのこだま」を取り上げた。やっぱりこのドラマ、大人気なんだな……日本のマスコミに。
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21日も22日もNステは脱北日本人妻の件を扱わずじまい。21日の脱北者問題小特集の前フリで久米宏がほんの一言触れたのみ。この小特集は大半が放送済みVの使い回しであった(姜哲煥氏インタビューや韓国MBC製ドキュメント等々)。
本日、“誘拐犯”とされた韓国籍男性2人の妻が会見を行ない、「日本政府が中国側に誘拐事件として通報したため夫たちは逮捕された。夫たちがいつ、いくら要求したというのか、日本政府はすぐに明らかにしてほしい」と訴えた。
他局のニュース番組がその後の動きを報じるなか20、21、22日と沈黙を守っていたNステだが、この新たな動きを受けてようやくこの件を取り上げた。久米宏が読み上げた前フリ原稿は、
「ニュースステーションでお伝えしている脱北日本人妻に関するニュースです。中国当局が彼女を保護する際、韓国人脱北者2人が誘拐犯として逮捕されました。この韓国人脱北者の妻たちが、今日ソウルで記者会見を開きました」
と、「保護」という表現を使用。ちなみに、毎日新聞は一貫して「身柄を確保」、「拘束」と表現している。
Nステは日本人妻と男性2人の関係、この2人と妻2人が元脱北者であることなどかなり詳細に報じたが、支援者グループ(G・PRESS)には言及せず。8日のNステの報道が“逮捕劇”の一要因かもしれないのに今日の放送内容には当事者意識が感じられなかった。久米宏やコメンテーター(森永氏)のコメントは一切無し。
・ <脱北者>日本人妻脱出手引き、誘拐ではない 逮捕男性の妻反論 (1/23、毎日)
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この事件についてはマダムゆあんのおばか日記の13日と20日に興味深い記述(推測)が書かれている。
大雑把に要約すると、――脱北日本人妻のSOSを日本大使館は相手にせず、本省にも報告していなかった。ところが取材記者経由でコトが露見したため、責任逃れのために、ブローカーからの金銭請求(必要経費+謝礼金程度?)を身代金を要求されたかのように歪曲して情報(デマ)を流した。平沢勝榮議員のTV発言はこの外務省のデマを真に受けたもの―― と推測している。いかにもありそうな話だな、当否は判断できないけど。
上はあくまで不正確な要約。詳しくは元記事を参照されたし。
・ マダムゆあんのおばか日記
追記(01-28)
上の要約の元記事(13日の日記)は、現在は削除されている。各方面から問い合わせが来て鬱陶しいとのこと(26日の日記参照)。
備忘用に関連ニュースをメモしておく。
・ 日本人配偶者:外務省、表面化を懸念 「水面下で保護」は限界 (1/18、毎日)
加藤博氏(北朝鮮難民救援基金)の「報道されたことが身柄拘束のきっかけになったのかもしれない。しかし、脱北者は不法入国者として送り返され、国家反逆罪などの厳罰に問われる危険性をメディアが理解していたのかどうかは疑問。(以下略)」との談話あり。記事も詳細。
・ 脱北日本人妻:国連に「難民保護」要請 政府 (1/21、毎日)
国連に要請ねえ。「邦人保護」は外務省の仕事じゃなかったっけ?
・ 拘束の2人は北朝鮮脱出者か 中国の日本人女性保護 (1/21、朝日)
・ 中国で拘束の脱北日本人妻、東京・葛飾区が生活支援を検討 (1/21、読売)
「営利目的ブローカー」についての記述と加藤氏の談話あり。
・ <日本人妻>北朝鮮に送還 99年中国で帰国準備中 NGO調査 (1/21、毎日)
・ <北朝鮮日本人妻>「立場の確認が必要」中国外務省 (1/21、毎日)
− 拘束者を送還せぬよう中国に訴え 日米韓独仏NGO会見 (1/21、朝日)
− <脱北者拘束>強制送還中止と救出求めNGOが訴え (1/21、毎日)
上2本は(関連はあるものの)別件。北朝鮮難民救援基金も参加しているのでついでに。
・ 中国・日本人女性拘束問題 拘束の日本人妻、帰国へ--中国が意向 (1/22、毎日)速報
「脱北者問題を巡って、中国政府は北朝鮮関係から亡命希望国へ送り出すことには慎重だが、北朝鮮への送還には国際社会から人権上の批判も出ているため、対応に苦慮している。今回は誘拐被害者という特殊なケースとして処理することにしたと見られる」
脱北日本人妻に関しては結果オーライとなりそうだが、「誘拐事件」として処理するというのはそもそも誰にとって都合のいい方便なのか? 「誘拐犯人」とされている韓国人男性2人はどうなるのか?
・ 拘束の日本人妻、帰国へ渡航書発給 政府方針 (1/23、毎日)
「ただ中国公安当局は、違法入国容疑だけでなく、誘拐の被害者としても女性から事情を聴いているとみられ、調査がいつ終了するのかは不明だ」との記述あり。
・ <脱北者>日本人妻脱出手引き、誘拐ではない 逮捕男性の妻反論 (1/23、毎日)
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