告知文&前置き |
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哲学のススメ 〜池田晶子出演
そんな事答えられるわけないじゃないですか???的ニュースステーション哲学夜話。「無」は存在するのか。「自分」とはどこにあるのか。「存在」とは何か。答えて差し上げましょう、気鋭の哲学者・池田晶子氏が生出演。最新刊『14歳からの哲学』を語る。あの頃、漠然と感じていた不安、考えていた疑問、そして、いつの頃からか問うことをやめてしまった人たちへ。「考える」最先端は、どこまで進んでいるのか。哲学のススメ。
出典:特集予告バックナンバー (ニュースステーション)
池田晶子氏が「哲学者」ではなく「文筆家」を名乗っていること、著書『14歳からの哲学』の紹介、「なぜ哲学を?」などの問答の後、この本を使って授業(「自分とは誰か?」)をした秋田県の中学校のレポートVへ。
V明けに生徒の感想文を3つ紹介。最後の女子生徒のものは「生きている意味がないように思えて時々手首を切ってしまう」という告白だったが、久米宏が「深刻な感想文」とコメントして読み上げるのみでスルーし、トークに突入。
以下はV明け後のトークの採録。他の「語録」では話し言葉特有の冗長な部分や言い間違いは適宜整理してあるのだが、この採録では池田氏の“話しぶり”を再現するためにできるだけ正確に起こしてある。適当に小見出しを入れてあるがすべて連続した対話で途中省略はしていない。
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「考える」ことから |
久米 宏 |
この本は「考える」という章からスタートしているんですが、さっきおっしゃった「考えるしか人間はやることがないんじゃないか」というお話ですが、「考える」ってことからスタートしたのはどういうことなんでしょう?
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池田晶子 |
んー……まさしくその、考えることが、人間が人間であることの…………根本ですよね? ですから、まあ、ん〜………、まああえて私、いっつも哲学という言葉を使わないで「考える」っていう言葉を使うのは、普通その、「哲学」というふうに聞いた時に人はその、なあに、あの、…………難しい言葉でね(笑)、難しい事柄を、こう、わざわざ難しく考えることだというふうに、あのー、世の中では思われていることが多いんですけれども、けして考えるということそのものは、始まりはそういうことではなくって、……あのー、………………………なにを考えるかというと(笑)、つまり、最も当たり前なことをですね(笑)、あのー、……………考えるわけですよ。つまり難しいことをわざわざ考えるんじゃなくって、あのー……当たり前だからこそ不思議なこと……
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久米 宏 |
あの、これは一番いいと思うんですけど、この中学生たちの感想文の中で一番多い感想っていうか疑問がですね、「体が死んでも君は死なないことになる」という文章がこの本の中にあるんですが(*)、これが一番の疑問で、「全然わかりませんでした」って書いてあるんですが(笑)、この感想が。「死んでもあなたは死なない」っていうね、これが一番わからないっていう子が多かったですね
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池田晶子 |
うん。それは一つの問いかけなんですけれども、そのー、そもそも我々にとって最も当たり前なことっていうのは、生きている、っていうことなんですよね(笑)。そうですよね(笑)?
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久米 宏 |
はい。あのーそれは、他のところでおっしゃってますが、「人間どう生きるかなんて難しいことを考える前に、生きているとはどういうことなのかを考えるほうがいい」とおっしゃてますよね
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池田晶子 |
そうなんです。順番としてはそうなりますよね? そもそもどう生きるかというふうな、いわゆる処世訓的な問いが出てくる前に、その「生きている」とはどういうことかってのがわかっていなければ、それをどう生きるかという問いは出てきませんよね。ですからまず、そのー、特に子供たちが、世の中を生きていくためにどうしようかという問いを……持ってしまう前に、実は、それ以前にそもそも君が生きているということ、の不思議さ、に気がついて、みれば、……その問いは違ってくる、ということを私は……えー、伝えたかったんです…ねえ
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(*)
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レポートVでこの箇所を朗読する場面があった。原文は「でも、もし君とは君の体じゃないとしたら、体が死んでも君は死なないことになるのだけれども、それともそんなこと知りたくないかなあ」
というものらしい。
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自分とは |
久米 宏 |
あのー、この本にも書いてありますが、生まれてしばらくはなんだかわからないんですが、世の中が。3歳ぐらいから、「あれ? あれ? 『自分』っていったい誰だ?」って(笑)、自分の××に気がついて(笑)、というところがありますが
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池田晶子 |
はい
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久米 宏 |
そうすると、「自分とは誰か」っていうのが、さっきの「生きているとはどういうことなのか」と同じことになっていくと思うんですけど、「自分とは誰か」っていうのは、池田さんはどうお考えになるんですか、自分とは誰か?
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池田晶子 |
うふふふ。……えへ……こういう場所でいきなり(笑)。すっごく難しい問題なんですけどね、これ(笑)。一言でいう……いわ……どういって(笑)…………いや、ほんとに難しいんですよこれは
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久米 宏 |
あの、少し話戻しますとね、
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池田晶子 |
はい(笑)
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久米 宏 |
さっきのあの、生きてるってことと死ぬことですけど、死ぬってことは自分の肉体が無くなってこの世からいなくなることですよね、たぶん
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池田晶子 |
……(無言で久米の頭の辺りを睨んでいる)
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久米 宏 |
ちょっと黙って聞いててください(笑)。「いなくなること」。ただ、自分がいなくなるっていうことはですね、自分がいなくなるっていうことを考えているっていうことは、自分がいるから自分がいなくなることを考えていることだ、っていうことですねえ
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池田晶子 |
はい
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久米 宏 |
だから、自分がいなくなるっていうことを考えるっていうことは、自分がいることの証明になってしまう、という
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池田晶子 |
はい
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久米 宏 |
だから、自分がいなくなることを考えるというのは、自分がいるから考えられるんで
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池田晶子 |
そうです
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久米 宏 |
いなくなった時のことを考える自分はいないんだから。いる自分といなくなった時のことは繋がらない
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池田晶子 |
はい
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久米 宏 |
だから生と死は繋がらない、っていうふうに解釈していいんですか?
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池田晶子 |
……そーうですね。その意味では。そう、なんですよ。つまり、人は自分がいないということをどうやっても考えることができないんですね。にもかかわらず、毎日人々は死んでますよねえ? でも、死んでんのは、みんな他人なんですよ(笑)。けして自分が死ぬという経験をした人はいませんからね。そうすっと、自分が死ぬってどういうことなんだって問いが、実は他人が死ぬということを理解するのとは、違う理解の仕方を必要とされているということに、その時気がつきますよね。………ですから、普通に人が、「自分が死ぬ時は」っていうふうに、日常に当たり前のこととしてそういうふうな言い方をしますけれども、実はそれは、どういうことなのかってことは(笑)、考えてみると、……誰にもわかんないんですよ
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久米 宏 |
んー
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池田晶子 |
そういう、わかんない、当たり前の日常をですね、人は平気で生きてるわけですね。そういうことって、………不思議……であり、かつ、………そうですね、……それを考えなければ、……だって、そもそも(笑)、人生がありえない(笑)、根本的な事柄でしょ(笑)。ですから、当たり前のことを、考えるのがまず……第一だと……私は……言っております
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足りない |
久米 宏 |
あのー、森永さんは、自分では、自分は哲学的な存在だと思ってらっしゃるかたのようなんですけど
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池田晶子 |
はあ、はあ
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森永卓郎 |
いえいえいえ(笑)
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久米 宏 |
お話があったら
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森永卓郎 |
あのー、私も子供の頃、死とは何かとか時間とは何かってずっと考えてたんですけど、ある程度のところまで行くともう難しくって、怖くなっちゃうし、その、哲学者ってのは偏見かもしれないですけど、変になっちゃったり自殺しちゃったりするっていう、その領域に入っていっちゃうのが怖くて思考停止しちゃうってのが大部分の人だと思うんですけど
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池田晶子 |
あーそうですか
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森永卓郎 |
池田さんはそういう、考え過ぎて死にたくなっちゃうとかっていうことはないんですか?
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池田晶子 |
いや、それは話が逆でしょう! だって、その「死」とは何かを考えているから死にたくなる理由はないですよね(笑)
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森永卓郎 |
あー……そうなんですか(小声)
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池田晶子 |
そうですよお(笑)
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森永卓郎 |
私は怖くなっちゃって、そこから、
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池田晶子 |
いや、だからそれ、考えが足りないから(笑)、あっはははは(笑)
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森永卓郎 |
あー、すみませーん(笑)
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渡辺真理 |
考えが足りないんですって(小声)
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時間は流れない |
久米 宏 |
あのー(笑)、TVの放送って時間が流れていって成立するんですけど、生放送だと特に。時間の流れっていうのがあると考えるのがまず間違いだとおっしゃってるんですよ。過去があって、
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池田晶子 |
いや、間違い…でもないんですけど。はい
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久米 宏 |
時間は流れてないっておっしゃってますよね?
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池田晶子 |
ん……あるレベルではそうなんですよ
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久米 宏 |
あのー、今しかない、と
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池田晶子 |
はい
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渡辺真理 |
今、今がある
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久米 宏 |
過去を考えているのは、今の自分がいるから過去を意識できるし、
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渡辺真理 |
そうですねえ、はい
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久米 宏 |
未来のことを模索したりするのも、今の自分がいるから未来を考えられるんだから、今しか時間はないって考えてらっしゃるんですよ。そうすっとね、TVの放送ってなかなか難しくなってくる、やるのがね。ふへへへ(笑)
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渡辺真理 |
その割りにやってらっしゃいますよ
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久米 宏 |
え?
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渡辺真理 |
その割りにやってらっしゃいますけどね
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久米 宏 |
そういうことですよね?
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池田晶子 |
ですから、そういう不思議なことをね、毎日やってらっしゃるっていう
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久米 宏 |
TV放送ってとても難しいって思いません?
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池田晶子 |
そうでしょうねえ。……でも、それやっぱり、すべて今なんですよぉ。あの、時間が前に流れているように思ってらっしゃるんでしょうけども、やっぱり、今、だけしかないんですよ、実は
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久米 宏 |
今日の話、おわかりいただけたでしょうかね
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森永卓郎 |
あははは(笑)
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久米 宏 |
TVの視聴率ってグラフで出るんですけどね
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池田晶子 |
はあ
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久米 宏 |
どんな話してた時にどう上がったり下がったり
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池田晶子 |
あ!
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久米 宏 |
出るんですけど。今日のところは、グラフが下がるのか上がるのか平らなのか、非常に楽しみだと思いません?
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池田晶子 |
そうですね(小声)
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森永卓郎 |
ふひひひひ(笑)
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久米 宏 |
そんな元気の悪い声、出さないでいただきたいと思います、ふへへ(笑)。池田先生でした。ありがとうございました
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池田晶子 |
はい
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渡辺真理 |
ありがとうございました
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対話の状況(光景)について
TV生出演で舞い上がっていたのかもしれないが、池田氏は頻繁に、発作的な意味不明の笑いを発していた。ジョークを言いかけた人間が途中で吹いてしまい一人で笑っていてまわりはなにがおかしいのかさっぱり、という状況に似ていた。
池田氏の表情には強い険があった。特に森永氏とのやりとりでは、ジロリと横目で睨んだり、「考えが足りない」と決め付けるなり顔を背け掌で口を隠して大笑いするという、絵に描いたような“高慢で底意地の悪い女が人を小馬鹿にして笑う時の仕草”まで披露している。
感想
池田氏は「当たり前」「不思議」を連発して説明不足(説明抜き)の断定・断言を繰り返すばかり。「気鋭の哲学者」の「『考える』最先端」(特集予告)とは程遠いトークであった。